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【右丁】
の必要(ひつよふ)なることを説諭(ときさと)せども衆人(しゆじん)は矢張(やはり)
昔(むか)しの思(をもひ)をなして更(さら)に之を行(をこ)なはし故(ゆへ)に
防(ふせ)ぎ得(う)べき虎列刺(これら)も次第(しだひ)に伝播(ひろが)りて遂(つい)に
は防ぐべからざる場合(ばあひ)に立至る之(これ)誠(まこと)に嘆(なけ)
かはしきことならずや衆人(しゆじん)力(ちから)を協(あわ)せ心(こゝろ)を
同(をな)じゆしく厳(きびし)く予防法(よほふほふ)を行(をこな)えば必(かなら)ず此病(このやまひ)
に係る罹(かゝ)ることなかるべし
虎列刺病(これらびよふ)の原因(もと)を知(しる)ことは甚(はなは)だ困難(むづかし)きも
【左丁】
のにして西洋医家(せひよふいか)の論説(ろんせつ)も各々(をの〳〵)同(をなじ)からず
然(され)ども方(ほふ)令仮(かり)に定(さだ)めたる説に拠(よれ)ば虎列刺(これら)
毒(どく)と名(なづ)ける「これらびりゆす」なる物(もの)ありて
種々(さま〳〵)の導(みちび)きに由(より)て人間(にんげん)を病(やま)しむると云(いへ)り
此毒(このどく)は眼(め)にも見(らへ)ず又(また)手(て)にも触(さわ)り得(え)さる物(もの)
にして虎列刺病人(これらびよふにん)の吐(はき)たる物(もの)及(およ)び下泄者(くたさるもの)
などの中(うち)にありて空気(くうき)と飲水(のみみづ)との媒介(なかたち)に
由(よ)り諸方(しよほふ)に伝播(ひろが)るものなり之(これ)を防(ふせ)ぐには