翻刻
【右丁】
粉(こ)をふりかけよろし其粉といへるは何(なに)にても雨露(あめつゆ)
のあたりて朽(くち)てたわひなき物を用ひて粉にすべし
屋上(やね)の枯草(かれくさ)或は古苫(ふるとま)朽縄(くちなわ)なとの類を細末(こに)して
ふりかくべし上の風をふせき下のしるをすひてかは
かさぬものよし兼而(かねて)用意(ようい)しかたはらにおくべし
少しにてもかきやふらしむる時は其 儘(まゝ)ふりかくべし水
もりの時甚入用なり膿(うみ)となりて後(のち)は害(がい)少なし
世(よ)に土器(かわらけ)を用ゆる事或はうどん粉なとをふりかくる
事至而 悪(わろ)し又痘のうちに一粒(ひとつぶ)かゆきありこと〳〵く
【左丁】
かゆきものにあらすかのかゆみある一粒につきて外を
損(そん)するゆへ荊芥をこよりにひねり込て火をつけ
かゆき痘のさきへ火をあつれはかゆみとまる世俗(ぞく)に
荊芥(けいがい)を袋(ふくろ)につゝみかゆがる時上をたゝくは甚 僻(ひが)事
なり益(ゑき)なし或は見へかゝりに物にあやかりてかゆみ
あるは龍顔(りうがん)の売(から)【殻ヵ】を焚(たく)べし
○一角(うにかふる)は解毒(げどく)のものにして痘に妙(めう)なりとす発(ほつ)
熱(ねつ)より出斉(てそろひ)まて鮫(さめ)にておろし一弐分宛さゆにて用ゆ第一
見点(ほみせ)せし時 貯置(たくはへをき)し兔血丸を取出して冷水にて呑(のま)しむる