翻刻
【右丁】
事 忘(わす)るへからす又柳の虫は痘毒(とうとく)肌表(はたおもて)へ追透(おひすく)の
功(こう)あり是等も心得用ゆへし水煎し虫を去り
服(ふく)すへし此外人の知(し)れる阿蘭陀テリアカ
兔鹿丸の品々用薬ありといへとも混雑(こんざつ)してあしゝ
他を用べからす古しへより痘に薬なしと云諺在
吉(きつ)痘は薬を用ひて害(がい)あるあり凶痘は薬も益(ゑき)なし
中痘は又薬のためにあやまたるゝもの多し
表裏(ひやうり)の虚実(きよじつ)を察(さつ)し歳運(としこと)の偏(おとり)勝(すくるゝ)を考(かんかへ)て
温涼補瀉の妙機(めうき)を前知するにあらされは日期(ひかず)【注】
【左丁】
ある病(やまひ)ゆへ誤治(あやまり)を救(すく)ふの法なし可恐可慎まこ
とに痘に薬なきを知りて薬を用ひはあやまち
なきに近(ちか)し
【注 7コマ6行目の「日期」に「ひかす」とあり。】