翻刻
【右丁】
ありて根ふかしへないもは害(がい)をなすものにてはなけれ
とも本痘にまきるゝ根なるもの也中におもきもの
あり誤(あやま)りて痘(ほうそう)となすへからす又痘瘡にはしかの
交(まざ)りたるあり交疹といふ又へつたりと赤きほろせ
のやうなるものをませたるを交斑といふなり
○紙燃(しそいく)【ママ 注】にて照法発熱(てらしみるしよねつ)の時痘か痘にてなき歟又は
痘のかろきおもき多少をうかゝひしるに随分ふとき
紙燭(しそく)をひねりてよく油を付置火のとはしるなき様
にすべし昼なれは屏風(ひやうふ)にてかこひ暗(くらく)して紙燭
【左丁】
にて左りの頬(ほ▢)より見はしめ右の頬を見る額(ひたい)の
まんなかをよく見るべし紙燭を小児の目しり耳の
あたりよりすかして照(てら)し見れは皮(かわ)ひとへ下に
むら〳〵として見ゆるうちに粒(つぶ)の点(てん)をむすひ
かけたるあり只むらつきてのみあるもあり地色(ぢいろ)血(ち)
色(いろ)に気をつけ手足ともに委敷(くはしく)見るへし発熱(ほつねつ)
してうたかはしき時には紅(べに)紙燃(しそく)を用ゆる也 天日(そら)の
光りにてはわからす既(すてに)肌表(はたおもて)に顕(あらは)れてより後は
灯火(ともしひ)はあしく火の勢(いきほい)をかりて悪(あしき)もよく見ゆ依(よつ)て
【注 19行目に「紙燃」が「しそく」と振ってあることから、ここでも「しそく」とあるところか。】