東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

前訓 - 翻刻

前訓 - ページ 17

ページ: 17

翻刻

   むかしより申ならはせしごとく仰向(あをぬい)て吐唾(はくつばけ)はかならず    天(てん)には吐(はき)かけずして却而(かへつて)落(おち)かかりて身(み)を穢(けが)すといへり    孟子(もうし)も自(みづから)侮(あなとつ)て後(のち)人(ひと)これを侮(あなど)り自毀(みづからやぶつ)て後(のち)人是(ひとこれ)を毀(やぶる)    と仰(をふせ)られしなりされば悪事(あくじ)をすれば忽(たちまち)凶事(あしきこと)来(く)る    なり善事(ぜんじ)も同(をな)じ事(こと)にて善事(よきこと)をすれば亦吉事(またよきこと)    来(く)るなりこれ即形(すなはちかたち)と影(かげ)のごとくなるべし然(しか)れば    此段(このだん)を御弁(をんわきま)へなされ報(むくひ)はおそろしきものなれば必々(かならず〳〵)    すこしもあらき事(こと)はなさるまじく候 一 此座(このざ)も大勢(おほぜい)の御子達(をんこたち)なれば定而御両親(さだめてをんふたをや)ともなき御子達(をんこたち)  もあるべしそれは必御両親(かならずごりやうしん)の御代(をんかは)りになる御人(をんひと)あるものなり  其(その)かはりに御立(をんたち)なされ候 御方(をんかた)を御両親(をんふたおや)と思召(おぼしめし)候て大切(たいせつ)に  御(をん)つかへなさるべく候    凡御両親(をよそをんふたおや)なき御方(をんかた)も其御(そのをん)かはりには祖父様(ぢいさま)か祖母様(ばゝさま)か    あるべしそれもなければ伯父様(おぢさま)か伯母様(おばさま)か兄様(あにさま)か姉様(あねさま)か    あるべしそれもなければ又古(またふる)き手代衆(てだいしゆ)か或(あるひ)は御世話人(をんせわにん)    あるべし是其御人(これそのをんひと)則御両親様(すなはちをんふたおやさま)の御(をん)かはりなり尤手代(もつともてだい)    衆(しゆ)などを親(おや)と申すにてはなくそう候へども御親達(をんおやたち)の御心(をんこゝろ)に    成(なり)かはりて世話(せわ)をしてもらふからは直(ぢき)に御親達(をんおやたち)と    おぼしめさるべく候 然(しかれ)ば屹(きつ)としたがひ大切(たいせつ)に御(をん)つかへ    なされねばかなはぬ事(こと)と御心得(をんこゝろへ)なさるべく候