東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

前訓 - 翻刻

前訓 - ページ 18

ページ: 18

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一 何(なに)にかぎらず心(こゝろ)に是(これ)はあしきとおもふ気(き)のつきたる事は  かたくいはずなされぬものにて候    これ軽(かろ)き事(こと)にあらず御幼稚(ごようち)の時(とき)より御成人(ごせいじん)なされて    後(のち)までも学問(がくもん)の至極(しごく)と申は別(べつ)の事(こと)にてはなし只此(ただこの)    あしきと思(おも)ふ事(こと)をいはぬとせぬとの外(ほか)はなく候 扨先(さてまつ)    其(その)せまじくいふまじきあらましを左(さ)にしるす    凡主親兄夫(をよそしゆおやあにおつと)などへ口(くち)ごたへ○惣(そう)じて人(ひと)に対(たい)して気随(きずい)    なる言(ことば)○あるまじき偽(うそ)○色事(いろごと)のはなし又(また)は噂(うはさ)○大口(おほくち)    ○男女(なんによ)の間(あいだ)にてあしき戯(たはむれ)たる言(ことは)○むごき言(ことば)○高(たか)ぶりほこり    たる言(ことば)○いやらしく気味(きみ)わるき言(ことば)○意地(いぢ)わるき言(ことば)    無理(むり)非道(ひどう)なる言(ことば)一々(いち〳〵)所作(しよさ)は申に及(をよ)ばす    此外(このほか)かやうなる言所作其品多(ことばしよさそのしなおゝ)かるべし悉(こと〴〵)くいひ尽(つく)し    がたし自身心(じしんこゝろ)をつけて吟味(ぎんみ)し習(なら)ひて御慎(をんつゝし)みなさる    べく候とかく万事堪忍(ばんじかんにん)が大事(だいじ)にて候 或人(あるひと)の狂歌(きやうか)に    堪忍(かんにん)のなる堪忍(かんにん)が堪忍(かんにん)かならぬ堪忍(かんにん)するが堪忍(かんにん)   此歌(このうた)の心(こゝろ)になり候はゞ堪忍袋(かんにんぶくろ)の緒(を)がきれると申 事(こと)は   なき事(こと)と御心得(をんこゝろへ)なさるべく候 此袋(このふくろ)の緒(を)さへきれねばあし   き事(こと)は出来(でき)申さず候 誠(まことに)にありがたきをしへにて候  右是(みぎこれ)まで段々(だん〳〵)御(をん)はなし申 品々(しな〴〵)は実(じつ)に御幼稚(ごようち)の御覚(をんおぼへ)なされ  やすく御つとまりなされやすきために人(ひと)の道(みち)のかたはしを