翻刻
一女は順(じゆん)にして父母(ちゝはゝ)舅姑夫(しうとしうとめをつと)などにしたがひて何(なに)事も
われときまゝに取(とり)はからひせぬものにて候。この事
屹(きつ)と御つゝしみなさるべく候
されば女は三従(さんしやう)の道(みち)と申事の候。幼稚(ようち)の時(とき)は父母(ちゝはゝ)に随(したが)ひ。
嫁(か)しては舅姑夫(しうとしうとめをつと)にしたがひ。老(をひ)て夫(をつと)なくなりて後(のち)は
《割書:よめいり| 》
我子(わがこ)に従(したが)ふものなりと。小学(せうがく)にも教(をし)へ給へり。又(また)女は
外(そと)をいはずとて殊(こと)に表(おもて)むきの事は夫(をつと)の任(やく)なれば
女は少(すこ)しもいふまじくさしでまじき事なり。しかれば
幼稚(ようち)の時(とき)より少(すこ)しも気随(きずい)きまゝの挙(ふるま)ひはかたくせぬ
ものなり。凡(をよそ)気随(きずい)の品事(しなこと)多(おほ)かればさしあたりつゝしまで
かなはぬ品(しな)の大(おほ)やうをいはゞ。先(まづ)〇 父母(ちゝはゝ)の仰(をゝせ)を能(よく)きゝて
背(そむ)かず〇女は十歳(とを)ばかりにもなりては中戸(なかど)より外(そと)へ
むさと出(いで)ぬものなり○身(み)の行佐(ぎやうさ)はいふに及(をよ)ばず言葉(ことば)
づかひ尋常(じんじやう)にしても物やはらかなるべく〇 子細(しさい)らしきは
男めきてあしゝ〇 品過(しなすぎ)たるはいやらしく聞(きゝ)にくし
〇 流行(はやり)言葉(ことば)無用たるべし○容貌(なりふり)はでならずいやし
からず娘(むすめ)らしくをとなしきがよし〇 頭(かしら)のかざりも
目立(めだゝ)ぬやうがをとなしく見ゆ〇 被(かふり)ものなきはいやし
〇なにごとも当世風(たうせいふう)はよからぬ人(ひと)のする事なり目立(めだち)てあしゝ
〇女の業(わざ)は手習(てならひ)うみつむぎ糸(いと)くり綿(わた)つみたちもの