翻刻
織縫(をりぬひ)料理(りやうり)煮(に)焼加減(やきかげん)大(おほ)やうかくのごとし。右(みぎ)の手(て)わざ
不調法(ぶてうはう)なるは女の大恥(おほはぢ)なり励(はげみ)て覚(おぼ)へしならひ給ふべし。
此外(このほか)の遊芸(ゆうげい)は下(した)〳〵(〳〵)の身(み)は知(し)らぬかたが却(かへつ)て頼母敷(たのもしき)ものなり
一 神仏(かみほとけ)の御供(をそなへ)ものは疎(をろそか)にせまじき事なり。其外何事(そのほかなにごと)も
母(かゝ)さまの御 助(たすけ)をし御苦労(ごくろう)のすくなきやうに油断(ゆだん)なく
《割書:てつたい| 》
御気(をんき)くばりが大事(だいじ)にて候
惣(そう)じて飯(めし)をたき汁菜(しるさい)の料理(りやうり)をするをいやしき業(わさ)の
やうにおもふは甚誤(はなはだあやま)りなり。すべて女に四(よ)つの徳(とく)あり。則(すなはち)
婦言(ふげん)。婦徳(ふとく)。婦 功(こう)。婦 容(よう)。といふ。女は此四(このよ)つの行(をこな)ひ一(ひと)つ
かけてもならぬものなり。其第一婦言(そのだいいちふげん)とは女の辞(ことば)なり。
ものいひ鮮(あざやか)に口(くち)のきゝたるにはあらす。能言葉(よくことは)をつゝしみ
ていふこれなり。二(ふた)つに婦徳(ふとく)とは女の徳(とく)なり。才能人(さいのうひと)にすぐれ
たるにはあらず。起居静(たちゐしづか)にしてさはがしからず。身(み)を顧(かへりみ)て
人(ひと)の知(し)りても恥(はづ)る事なきやうに慎(つゝし)むこれなり。三(み)つに婦功(ふこう)
とは女の業(わざ)なり。たくみなる事人にすぐれよといふにはあらず。
常(つね)に織縫(をりぬひ)の業(わざ)に怠(をこた)らず。客人(きやくじん)などあれば食物(しよくもつ)など
いさぎよくして馳走(ちそう)するの類(たぐひ)これなり。四(よ)つに婦容(ふよう)とは
女の貌(かたち)かほよく姿(すがた)のうるはしくある事にはあらず。湯(ゆ)あひ
髪洗(かみあら)ふ事 怠(をこた)らず。身持穢(みもちけが)らはしからず。朝(あさ)とく髪結(かみゆ)ひ。
常(つね)にかたちを齊(とゝの)へ取乱(とりみだ)さぬをいふなり。此四(このよ)つはこれ女乃