翻刻
性事(しやうこと)をしたり或(あるひ)は盗賊(ぬすひと)をし人(ひと)をも殺(ころ)すやうになり
申候わるき事(こと)をかくして人(ひと)はしらぬとおもふとも我(われ)が
腹(はら)の中(うち)に我(われ)がよく知(し)るなり此(この)しる心(こゝろ)が直(ぢき)に神様(かみさま)や
仏様(ほとけさま)と一躰(いつたい)なり然(しか)れはいはぬはづせぬはづの事(こと)を
《割書:ひとつからだ| 》
云(いふ)たり為(し)たりするは神仏(かみほとけ)の御(お)きらひなるゆへ
心にうけぬなりされは此本心(このほんしん)の気味(きみ)わるくおもひ
てうけぬ事(こと)はかまへてかりにもいふたりしたせぬもの
なりと御こゝろへなさるべく候
古歌(こか)に
いつわりも人(ひと)にはいひてやみなましこゝろのとはゞいかゞ
こたへん
一 惣体遊(そうたいあそ)び事(こと)にもあしき事(こと)はなされぬものにて候
そのあしき遊(あそ)びごとのあらかた其品(そのしな)をいはゞ
一あないち其外(そのほか) 諸勝負事(しよしやうぶこと)銭(ぜに)あつかひかたくなされまじく候
第一博奕(だいいちばくち)の兆(きざし)にもなり候てこゝろもちさもしくなり
其上(そのうへ) 友達争(ともだちあらそ)ひ起(をこ)り互(たがひ)に気(き)をもみ剰恨疾(あまつさへうらみにくみ)もみな
此勝負(このしやうぶ)より初(はじま)り甚(はなはだ)あしきものにて候
一 何事(なにごと)にても人(ひと)にかくしてする遊(あそ)び事(こと)はかたくなさるまじく候
これは前(まえ)に申候 偽(うそ)と同(をな)じ事(こと)になり申候
右(みぎ)の外(ほか)も此二色(このふたいろ)にて御推量(ごすいりやう)なされとかくわるき事(こと)と
御気(をき)の付(つき)たる事(こと)はなされぬがよく候
一 殺生(せつしやう)をする事(こと)は甚(はなはだ)あしき事(こと)にて候