翻刻
【右丁】
/天地間(てんちのあいだ)に人(ひと)の/命(いのち)を/救(たすく)るより/大善事(おほいなるぜんじ)ハなし/天花十人(はやりほうそうじうにん)の
/内(うち)/二三人(にさんにん)は/必(かならず)/死(しぬ)るものなれバ/今(いま)十人/牛痘(うゑぼうそう)を/殖(うゑ)る/時(とき)ハ
/現(げん)に二三人の/命(いのち)を/救(たすく)るなり/千人(せんにん)/殖(うゑ)る/時(とき)ハ二三百人の
/命(いのち)を/救(たすく)るなり/格互(めい〳〵たがひ)に/
相勧(あひすゝめ)て天花(はやりぼうそう)にて/死(し)ぬる/小児(ことも)を/速(はや)
く/濟(すく)ひ/玉(たま)ひねかし/天花(はやりぼうそう)にて/死(しに)て/後(のち)ハ/悔(くや)みてもかひ/無(な)
き/㕝(こと)なりあながして
/近来(ちかごと)/良法(よきほう)を/妄(みだ)りに/誹(そし)る/者(もの)あり/又(また)/師傅(しでん)も/無(な)き/人(ひと)の此法(このほう)
を/擬(まね)して/賣弘者(うりあるくもの)あり/此法(このほう)にハ/真假(まことまがひ)の/辨(みわけ)/肝要(かんやう)なり/此辨(このみわけ)
を/知(し)らぬ/人(ひと)に/殖(うゑ)させたり又(また)/再種(うゑなおし)をすべきに/再種(うゑなおし)をせ
【左丁】
ざる者ハ/再(ふたゝ)び天花(はやりぼうそう)を/染(うつ)る/㕝(こと)あるべし/其(それ)ハ/其人(そのひと)の/物(もの)ず
きにて/此法(このほう)の/罪(つみ)にハ/非ず(あら)ずと/知(し)るべし/右等(これら)の/沙汰(さた)を/聞(きく)
に/忍(しの)びず/俄(にはか)に/筆(ふで)を/走(はし)らし/惑(まど)へる/人(ひと)を/喩(さと)さんとす
嘉永三年春
至誠堂主人
施印