翻刻
【右丁】
無二(むに)無三(むさん)の良薬(りやうやく)これを
視(み)れとも不見(みへず)これを聴(き)け
とも不聞(きこへず)費(ひ)にして隠(いん)なり
近前来(きんせんらい)【注1】
不学無能謹序
【左丁】
養生長寿秘伝鈔(ようせうてうじゆひてんせう) 上
一 太平(たいへい)の御代(みよ)に出生(しゆつせう)し御高恩(ごかうをん)身(み)にあまり難有(ありがたく)
あんぜんに世渡(よわた)り仕(つかまつ)り候 扨(さて)世(よ)の中(なか)の人のあり
さま明暮(あけくれ)老(お)ひ行(ゆき)候 竹馬(ちくば)の友(とも)をかぞへ候 得者(へば)
男女(なんによ)とも愚老(ぐらう)が年(とし)迄も長命(ながらへ)候 者(もの)二三十人に壱人(いちにん)位(ぐらい)
にてまれに相 覚(をぼへ)候人々 養生(ようぜう)能(よく)御 心得(こゝろへ)天(てん)よりうけ得(へ)
たる御寿命(ごじゆめう)御保(をんたも)ち被遊(あそばされ)候はゞ愚老(ぐらう)が寸志(すんし)届(とゞ)き大(たい)
慶(けい)に存(ぞんじ)候 此書(このしよ)御覧(ごらん)被下(くだされ)長寿(てうじゆ)の御工風(ごくふう)出来(でき)御安心(ごあんしん)に
御世(をんよ)わたり可被下(くださるべく)候 某(それがし)幼年(ようねん)より至(いたつ)て病身(びやうしん)にて親(おや)共
殊(こと)の外(ほか)苦労(くらう)にいたし候に付 病(やま)ひを恐(をそれ)れ身命(しんめい)の大事を
【注1】 禅 もっとそばに寄れ