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【右丁】
思(おも)ひ平日(へいじつ)養生(ようぜう)仕(つかまつり)候 効(しるし)に御座(ござ)候 哉(や)兄弟(けうだい)六人之 内(うち)四人は三
十 歳(さい)より四十五六 才(さい)までに早世(そうせい)いたし候 尤(もつとも)兄弟(けうだい)は皆々(みな〳〵)
私(わたくし)より至(いたつ)て丈夫(じやうぶ)に御座(ござ)候 処(ところ)平生(へいせい)身(み)養生(ようぜう)心得(こゝろへ)悪敷(あしき)ゆ
へと存(ぞんじ)申候
一 身(み)の養生(ようぜう)は酒(しゆ)色(しよく)欲(よく)此の三ッにあり大酒(たいしゆ)いたせば酒毒(しゆどく)
に中(あた)り或(あるひ)は不 忠(ちう)不孝(ふかう)不 義(ぎ)も此(これ)より出来(でき)亦(また)過酒(くわしゆ)より
色(しき)情おこるは勿論(もちろん)にて酒色(しゆしき)の二欲(によく)銘々(めい〳〵)の身(み)をせ
め命(いのち)をちゞむる責道具(せめどうぐ)とぞんじ候これまで貴賤
上下(ぜうげ)の隔(へだて)なく御懇意(ごこんい)の御方々(をんかた〴〵)様(さま)にも短命(たんめい)のかた
十人に九人までは大酒(たいしゆ)色欲(しきよく)にて死去(しきよ)いたされ候 高貴(かうき)
【左丁】
の御方様(をんかたさま)がた又(また)は金銀(きんぎん)世宝(せほう)に不 自由(じゆう)無之(これなき)方々(かた〴〵)にも御(ご)
養生(ようぜう)あしく短命(たんめい)のかた数(かず)多(おう)く見(み)うけ候 某事(それがしこと)四
十 才(さい)ぐらい迄は至(いたつ)て病身(びやうしん)に候ゆへ親(をや)ども苦労(くらう)に致(いた)し
私(わたくし)へ申候には四十二の厄年(やくどし)と申 事(こと)も人間(にんげん)一生(いつせう)五十
年(ねん)と申 世(よ)の諺(ことわざ)にて工風(くふう)して見(み)れば一(いつ)ヶ 年(ねん)を一生(いつせう)と
見(み)る時(とき)は秋(あき)の末(すへ)冬(ふゆ)のそらと同(おな)じ事(こと)なり能々(よく〳〵)工風(くふう)
して身(み)の養生(ようぜう)能(よく)いたし長寿(てうじゆ)せよと教訓(けうくん)いたし
呉(くれ)候 得(へ)ども今日(こんにち)の事(こと)のみに紛(まぎ)れ暮(くら)し居(をり)候 処(ところ)ふ
と四十一才の時(とき)信友(しんゆう)の進(すゝ)めに依(よつ)て実学(じつがく)の明師(めいし)を
得(へ)て師(し)の仰(おうせ)にしたがひ日々(にち〳〵)身(み)の保養(ほよう)一心(いつしん)の持様(もちよう)等