翻刻
【右丁】
食(しよく)し古今(ここん)不変色(ふへんしき)の衣服(いふく)を着(ちやく)し何(なに)か足(た)らざる事(こと)無(な)く
自由自在(じゆうじざい)也 武士(ぶし)は諌言(かんげん)を悦(よろこ)び過(あやまつ)ては改(あらた)め仇(あた)を報(ほう)ずる
( いさめ)
にも恩(をん)を以(も)て為(す)る時(とき)は天下(てんか)に敵(てき)無(な)し心地(こゝち)能(よ)からむや孔(こう)
( こうし)
老(らう)何人(なにひと)ぞ我(われ)何人ぞ今日(けふ)は三日 明日(あす)は八日 後時(ごじ)後刻(ごこく)を待(ま)た
( らうし)
ず明師(めいし)を求(もとめ)よ道徳(だうとく)に親近(しんきん)せよ是(これ)を得(う)れば寿(じゆ)を得(へ)是(これ)を
( ことぶき)
得(へ)ざる時(とき)は命(めい)を縮(ちゞ)む長短(ちやうたん)我(われ)独(ひと)り知(し)る
( ながみじか)
右 御遺書(ごゆいしよ)中(ちう)書抜(かきぬき)に候 只(たゞ)不 生(せう)にして変(へん)に《振り仮名:可_レ応|おうずべし》と常々(つね〴〵)御示教(ごじけう)
候よし御道徳(ごだうとく)奉感(かんじたてまつり)【注1】候内々 書写(かきうつ)し置(おき)候 故(ゆへ)出之(これをいだし)【注2】候心 覚(をぼへ)迄 写(うつし)
取(とり)候へば誤字(ごじ)誤言(ごげん)多(おゝ)かるべく奉_レ存候 八郎兵衛
( あやまり) ( ことば)
長(ちやう)寿(じゆ)秘(ひ)伝(でん)鈔(しやう)下 畢
【左丁】
良薬(りやうやく)口(くち)に苦(にが)くとも病(やま)ひに利(り)ある事
は皆(みな)御 弁(わきま)へのやう候へども自心(じしん)取(とつ)て服(ふく)
用(よう)あらざれば効(こう)無(な)く仍(よつ)て貴(たうと)き賤(いやし)き
となく誰(たれ)も彼(か)も手(て)づから取用(じゆよふ)し
て心服(しんふく)有(あ)れがしと 《割書:愚老》 所存(しよぞん)だけ
平生 養生(よふじやう)秘訣(ひけつ)拾(ひろ)ひ書記(かきしる)し進(しん)
覧(らん)にいれ候御 心服(しんふく)あり信用(しんよふ)あらば
諸病(しよびやう)諸悩(しよのう)一 時(じ)に除滅(じよめつ)して安穏(あんおん)
【注1 返りレ点欠落】
【注2 同じく欠落】