翻刻
【右丁】
芝翫茶(しくわんちや)のおこなはれしも。いつしか
加賀屋(かゞや)の評判(ひようばん)とゝもに色(いろ)さめ。
梅幸茶(ばいこうちや)大和柿(やまとがき)の江戸 染(ぞめ)に
うつり行(ゆ)き。新内(しんない)ぶしの
はやる中(なか)に。ひねつた通人(つうじん)は河東(かとう)
節(ぶし)の事(こと)なりと。十寸見要集(ますみようしふ)を
懐(ふところ)にし。古(ふる)きをたづねて新(あたら)し
【左丁】
きを。知(し)るもしらぬもウヽ〳〵と。
松(まつ)の内(うち)からうなり出(だ)す世(よ)の中(なか)。松(まつ)の
内(うち)からうなるといへば。時(とき)なる哉(かな)
此春(このはる)より。世上(せじやう)一般(いつぱん)に麻疹病(ましんびよう)
流行(りうかう)して。千門(せんもん)万戸(ばんこ)此(この)沙汰(さた)にて。
評判紀(ひようばんき)の封(ふう)もきらず。市川団十郎が
大当(おほあた)りの芸評(げいひよう)より。はしかは