翻刻
【右丁】
麻疹(ましん)の奇方(きはう)と。筆太(ふでぶと)に見しらせ
たる間(ま)に合(あひ)招牌(かんばん)のおびたゞしさ。
仁(じん)の術(じゆつ)やら術(じゆつ)ないやら。はしか
銭(ぜに)をしてやらふと。人たらしの
多羅葉(たらえう)に。麦(むぎ)どのゝ歌(うた)をそへて
売(うり)あるく奴(やつ)あれば。食物(しよくもつ)の能(のう)
毒(どく)を施印(せいん)にして配(くば)るもあり。これ
【左丁】
らはすこしく陰徳(いんとく)の仕(し)どく彫(ほり)
ぞん紙(かみ)づらへ。損(そん)をして毒(どく)を
みる禁物(きんもつ)の心得(こゝろえ)にはなるべ
けれど。軽(かる)いはしかは医者(いしや)をも
たのまず。多(おほ)くは荊防敗毒散(けいばうはいどくさん)。
升麻(しようま)葛根(かつこん)当分(たうぶん)の。買薬(かひぐすり)にて
仕(し)て取(と)れば。寐(ね)る目を寐(ね)ずに熟(じゆく)