翻刻
【右丁】
全盛(ぜんせい)のおいらんも。初発(ぞやみ)の熱(ねつ)の
初会(しよくわい)より。揚干(あげぼし)にあひし心地(こゝち)
にて。いたづらに日(ひ)をふる物(もの)から。
酒(さけ)ものまれず独(ひと)り寐(ね)の。さみ
しき日数(ひかず)を送(おく)れども。送(おく)り
迎(むか)ひもなかの町。喰(く)ふてはこ
して寐(ね)て起(おき)て。内証(ないしやう)へ向(むか)ひては。
【左丁】
お気(き)の毒(どく)ざんすといへど。こちらを
向(む)ひて舌(した)を出(だ)すは。医者(いしや)に
見(み)せたる癖(くせ)にやあらん。又(また)部屋(へや)
方(かた)の病上(やみあが)りは。色(いろ)の黒(くろ)いに気(き)を
もみて。仙女(せんぢよ)香(かう)へ人ばしをかける
京橋(きやうばし)中橋(なかばし)。おまんま焚(たき)のお鍋(なべ)
三助(さんすけ)等(ら)は。すこしの熱気(ねつき)を