翻刻
【右丁】
かこつけて。朝起(あさおき)の苦(く)をのがれ。
高鼾(たかいびき)のひま〴〵には。横訛(よこなま)りたる
国(くに)ぶしにて。いやな薬(くすり)ものまねば
ならぬと。小唄(こうた)うたふて居(ゐ)るも
あり。算露盤(そろばん)ぎらひの小二(でつち)は。
みるを見真似(みまね)に引(ひき)かぶり。僥(よき)
倖(さいはい)の病(やまひ)也と。肥立(ひだち)の後(のち)まで仮(け)
【左丁】
病(びやう)をかまへて。居睡(ゐねふり)の寐(ね)置(お)きを
するも。麻疹(はしか)と海鹿(あしか)の間違(まちが)ひ
ならんか。かゝる騒(さわ)ぎの内(うち)にも
まだ。はしかをせぬ若(わか)いものは。
くさめが出(いで)ても麻疹(はしか)と案(あん)じ。さ
くりが出(いで)てもはしかとおどろ驚(おどろ)き。借(しやく)
金(きん)多(おほ)き物前(ものまへ)に。たのんませうを