翻刻
【右丁】
いく度(たび)といふ事(こと)をしらず。是(これ)は
国朝(こくてう)の旧記(きうき)共(ども)にみえたるのみにて。
伝(つた)へもらしゝも多(おほ)かるべし。
扨(さて)疱瘡(はうさう)に神(かみ)あれば。麻疹(はしか)の神(かみ)も
あるものと。めつたにこわがる馬(ば)
鹿(か)律儀(りちぎ)。かならず廿一二年に。
間違(まちがひ)なく流行(はや)る事(こと)。これ正直(しやうぢき)
【左丁】
なる神(かみ)わざ也と。思(おも)ひ込(こん)だる扁屈(へんくつ)
者(もの)。孫子(まごこ)の末(すへ)までいひ伝(つた)へて。廿 余(よ)
年(ねん)を指折(ゆびをり)て。恐(おそ)れあへるが不便(ふびん)
さに。かくわづらはしく年紀(ねんき)を
しるし。愚人(ぐにん)の惑(まど)ひをさと
さんとす。まづ此病(このやま)ひのはやり
し事。久(ひさ)しき時(とき)は百年か。二百