翻刻
【右丁】
年も間(あひだ)あり。又 邪気(じやき)の盛(さか)ん
なる折(をり)は。三年目にはやりたる
事もあり。これを以(もつ)ておす時(とき)は。
決(けつ)して神(かみ)の為業(しわざ)に非(あら)ず。疱瘡(はうさう)
神(がみ)はこれにかはりて。眼前(がんぜん)曹司(ざうし)
が谷(や)に。鷺明神(さぎみやうじん)の幟(のぼり)をひらめかせ。
下総(しもふさ)に芋(いも)の神(かみ)のお石(いし)をいだす。
【左丁】
湯(ゆ)の尾(を)峠(とうげ)の孫杓子(まごじやくし)。いもを
すくふ霊験(れいげん)あれば。さゝら三八も
お宿(やど)を申(まう)し若狭(わかさ)小浜(をばま)の六郎
左衛門(ざゑもん)も。神酒(みき)備(そな)へをもてなす。
それさへ延喜式(えんぎしき)の神名帳(しんめいちやう)には
名(な)をはぶかれ。宇田川町(うだかはちやう)の裏(うら)
おもてを尋(たづね)て見ても。薮芋屋(やぶいもや)