翻刻
【右頁】
萩
〽軒ちかみ老の耳たにおゝつくや秋を告ぬ【を告ぬ:それぞれ左脇に〻見せ消し】さやかな【さやかな:追記】る萩の上風
【添削結果:軒ちかみ老の耳たにおゝつくや秋さやかなる萩の上風】
雁
〽なれときた老は口さてやらひぬこの世なかのその哀さ
朝顔
〽□【□:な?】かき夜の寝覚なかにおき出る【る:左脇に〻見せ消し】て【て:追記】老は見・【・:たる】る朝顔の花
【添削結果:□【□:な?】かき夜の寝覚なかにおき出て老は見たるる朝顔の花】
擣衣【砧(きぬた)で衣を打つこと】
〽老らくの枕にちかき砧にそよその□【□:夜?】さむも更にしゝなく
【左頁】
虫
〽・【・:なく】むしの音の【音の:それぞれ左脇に〻見せ消し】よは頭を老になそらへて【になそらへて:それぞれ左脇に〻見せ消し】のたくひに【のたくひに:追記】友も【も:追記】きくねかそのすかや
【添削結果:なくむしのよは頭を老のたくひに友もきくねかそのすかや】
初冬
〽月花の折もさひしき老に又へるき冬の【の:左脇に〻見せ消し】も【も:追記】今朝はきにけり
【添削結果:月花の折もさひしき老に又へるき冬も今朝はきにけり】
時雨
〽時のまにうつりりかくれる【にうつりりかくれる:それぞれ左脇に〻見せ消し】のそらさためなき【のそらさためなき:追記】時雨にも老の性こそ濡まさりけれ
【添削結果:時のまのそらさためなき時雨にも老の性こそ濡まさりけれ】
雪
〽降はれし雪も友待夕くれをとはれぬ老の宿の寂しき