Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション2

. Japonais 648 - 翻刻

. Japonais 648 - ページ 29

ページ: 29

翻刻

ぞ成りにける此時朝倉の勇臣(ゆうしん)真柄(まから)十郎左衛門といふ不当(ふたう)の兵(つはもの)有ける が敗軍(はいぐん)を無 念(ねん)に思ひ五尺三寸の大 太刀(たち)を真向(まつかう)にかざし群(むらが)る敵(てき)を切 崩(くづ)し刃向(はむか)ふ者は鎧(よろひ)も兜(かぶと)もたのみならす太刀(たち)風につれ切 倒(たを)され命(いのち) 生(いけ)る者とては更(さら)に一人もなかりける爰(こゝ)に三河(みかは)勢の内より向坂式部(さきさかしきぶ)と云(い) へる大 剛(かう)の勇士(ゆうし)手鎗(てやり)提(ひつざけ)名乗(なのり)かけて向(むか)ふたり真柄(まから)しり目に白眼(にらみ)やさし き者の振舞(ふるまひ)かな冥途(めいど)の門出(かどいで)覚悟(かくご)せよと件(くだん)の大 太刀(だち)ひらめかし二打 三 打(うち)戦(たゝか)ひしが向坂(さきさか)いかに敵すべき持(もつ)たる鎗(やり)を切落(きりおと)され二の太刀(たち)に兜(かふと)の 吹返(ふきかへ)しを八寸ばかり切 割(わ)られ馬より落(をち)て死(しゝ)たりける是を見て式部(しきぶ) が弟(おとうと)同苗(どうめう)五郎治郎同六郎五郎 郎等(らうどう)山田宗六 主従(しう〴〵)三人切さきを 並べて切てかゝる真柄(まから)少しもひるまず先(まづ)太刀(たち)をのべて山田宗六が兜(かぶと)の天(て) 辺(へん)より脇腹(わきばら)まで切先(きつさき)下りに斬破(きりわつ)たり向坂兄弟(さきさかきやうだい)こは口惜(くちをし)と一世の勇(ゆう)を