翻刻
するどく烈(はげし)きゆへに其雨をなすとも又|俄(にわか)にはげし是その時雨(じう)|度(たび)々|行(おこなわ)るゝ|所以(ゆえん)なり此ゆへに霖雨(りんう)は十里弐拾里の間ともに同じといへ共|時雨(じう)は里(さと)を異(こと)にす又|霽(はる)ることも早(はや)きなり其|候(こう)によつて然るもの也此時|江海(ごうかい)を蒸(むし)のぼすこと有もみな暑熱(しよねつ)の甚しきがいたす所にして魚(うを)などを降(ふ)らす也 〇虹(にじ)問て云虹は蝦蟇(がま)の吹(ふく)気也と又云色の鮮明(せんめい)なるものを雄(を)と虹と云|冥闇(めいあん)なるものを雌(め)とし霓(げい)と云|詩経(しきやう)には螮蝶(ていてう)と出ともに虫(むし)を以て扁(へん)に置(をく)|虹(にじ)は小虫の所為(しわざ)として大なる気をあらわすこといかん答て云|虹(にじ)の字(じ)|虫(ちう)に从(したがい)|工(こう)にしたがふがゆへにいよ〳〵|字(じ)になすんで理をあやまれり虹(にじ)の理は雨後(うご)の雲(くも)と日の光(ひかり)と射映(しやえい)して形(かたち)をなすがゆへに日の形(かたち)をうけて丸し朝夕(てうせき)に虹(にじ)あつて日中(につちう)に虹(にじ)なきものは日勢(につせい)|熾(さかん)なれば也|雨雲(あまぐも)|一辺(いつへん)にあり日|一辺(いつへん)に在(あつ)て日|光(くはう)|雲の為に斜対抵住(しやたいていぢう)し日気(につき)|下垂(かすい)し地下(ちか)の熱気(ねつき)を吸(すい)うごかす時は地(ち)の熱気(ねつき)|旋(せん)|湧(ゆ)して起(おこ)り空(くう)中|雨際(うさひ)の雲に接(せつ)し日光の為に映射(えいしや)せられ後(うしろ)には黒雲(くろくも)の濃(こ)く厚(あつ)きものあるゆへ日光透(とを)らず射映(しやえい)せらるゝ雲微薄(びはく)の雨気(うき)を帯(おび)るものゆへ虹(にじ)となる虹に形(かたち)なくして日|勢(せひ)の
【下図】虹(にじ)