翻刻
一潰家 五千六百八軒 寺社共
一破損家 千軒余
一損田 四万五千百七十石余
一損畠 五百五十石余
一井関川除堤破損、四千百九十ヶ所
一米流失 二万二千百二十石余
一雑穀流失 二千百二十石余
一鰹節流失 五十万八千余
一材木流失 五万四千六百本余
一薪並松節流失 六百八十三艘但一艘十反帆の積
一炭流失 二十艘 同断
一怪我人 九百十六人
男 八百九人(○○○○)
女 百七人(○○○)
一死人 一千八百四十四人
男 五百六十一人(○○○○○○)
女 千二百八十三人(○○○○○○○)
一死牛馬 五百四十八足
牛 百七十四足
馬 三百七十四足
案ずるに宝永の大変は日中正午より午后二時頃迄の間に起りたる大震にして地震にかゝり
たる人民が難を避くるには最都合よき時刻なりとす然れど本邦の習慣として【傍点始】男子は多く戸
外にありて職を執り女子は多く戸内にありて職を執る習なればかゝる時変に際して男子は
割合避難の余地多きに拘はらず女子は之に反し尤不幸の地に立つものとす殊に女子は天賦
弱性多く倉皇の間忽ち措を失しこれが逃脱の機を失ふ事も葢多からむ【傍点終】偖は此大震の死人表
を見るに男子は五百六十余人にし女子は殆其二倍強なる一千二百余人に達するは其故なき
にあらざるを察すべし但怪我人は男子八百余女子一百余にて正反対の統計を見るも【傍点始】こは男
子は矢張屈強にて倒家津浪もこん限り免れんことを試みて女子の一挙に倒るゝに似ず負傷
しつゝも生命を争ひし為ならむ【傍点終】結局双方の死人怪我人を再三便宜の為め合算すれば左の如
し
死人怪我人合計二千七百六十人
男一千三百七十人 (内死人五百六十一人)