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コレクション: STAGE2

土佐古今ノ地震 - 翻刻

土佐古今ノ地震 - ページ 32

ページ: 32

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るときは該地震並引続き小震の際此線路方向上に常に異兆を見認あしは事実なるが如し然 れど安政地震の為め日向国陸面に重大の地変を生ぜしといふ歴史もなければ其異変は矢張 海面に起こりし事ならん其一時に同方向に火雲の立ち登りしといふは或は其間に海底火山 の破裂等ありてこれが現象を呈せしものなるか兎に角此事実は猶対岸九州の記録を調査し てこれが材料を比較研究するにあらざれば未、容易に何等の仮定を下し難しとなす然れど 此文中に一時々鳴動西方向に当り云々地震は付け合にて云々』といふに由れば其鳴動を発せ し地は素より地震の中心なるべく詰まり《ルビ:地震の方向は土佐より西方にありしといふ事は先|○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○》 《ルビ:づ動かざる鑑定なるべし|○○○○○○○○○○》 猶地震の方向を決するに足るべき第三説は三災録に見へたり其文曰く  扨地震は震動の如く西より鳴り来て東へ震ひ渡りしなり子細は土蔵などの潰れし土煙に  て空に立登り雲かと見ゆるもの段々立続き吸江渡場まで棚引きしを川原にて正敷身たる  なり 是に由り之を見れば当日の地震は西方より来りて東方に波及せるものにしてこは高知城下 の観察なれど上文幡多郡柏島の観察も亦一様に西より起て東に及ぶといふに符合し兎に角 該地震の方向決定に興かりて力ある材料なりといふべし 案ずるに此の安政元年十一月四日又五日の両日大地震は地文上より見れば無論根本的に於 て同一箇の連絡地震なりたとひ多少震源地を異にするもそは大地震の部分的発作と見做す べく根底に於て相関係せるは疑もなき所なり何となれば地震学上の常理より見るも殆ど同 一面接近の地殻にして二日間に全く相異りたる原因により相等しき程の絶大の震動の感ず るといふ事はあり得べからざる事実にして一回の大地震後に其地殻が安定を得る為めに揺 り返し又小地震を感ずるといふ事は有り勝ちの事実なればなり然れど其両日の地震ハ相互 の間に関係ありといふも其地震の中心地は必ず同一点たるに限らず地殻の安定を得る為め には其中心の適宜に彼此と移り行くは自然の法則に叶ひたる事なりといふべけれ然れば右 の《ルビ:十一月四日の地震は関東の地主として之を感じ翌五日の地震は西国の地主|○○○○○○○○○○○○○○○○○○〇○○○○○○○○○○○○○○》として之を感 じたるも理なきにあらざるが如し況してや地辷の地震ならば猶其事実の然るべき上に若火 山的の地震なりせば其火山脈の通過せる部分に於て何所を選ばず地下の水蒸気溶岩等が表 皮即地殻の弱点を見出し次第噴出する者なれば震動の中心が忽ち彼方より此方に移り或は 同時に數所の中心を有する事もこれあるべきは怪むに足らざる事なるべし 扨安政元年十一月四日、五日の地震共我本邦の陸地面上に格別著しき断層又陥没の局所を 見ず却て陸地に近き海面に於て両日共恐るべき地震を生じ或は其一部に観察せられたる所 によれば津浪中に火山性の軽石を含み又は著しき震動の鳴響等を聞き取りたりといへば恐 くは《ルビ:本邦南方の海底中に吾人の未だ研究を者ざる火山脈ありて其脈中火山が海底に|○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇》 《ルビ:破裂せ|○○○》