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コレクション: STAGE2

土佐古今ノ地震 - 翻刻

土佐古今ノ地震 - ページ 36

ページ: 36

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《ルビ:の惨事|〇〇〇》なりといへり然るに中央気象台の報告にも其特別の説明なく地方の口碑としも俗に 所謂七十五日の噂にて歳月の経過の及びては遂に其事実を世上に忘却せられんこと惜むべ きの限といふべし抑吾人が今日に及びて古来の天災を研究して地学の新理を窮むるを得る は皆一に其時代記録の賜なり然れば後世に至り又今日の天災を研究して或る新理を発見せ んと求むるは猶今の占を視るが如けんよりて今当時余が実見の事実を重としこれに新聞公 報の記事等を参考して明治三十二年土佐国大暴風の記録を留むといふ是又吾人学術研究に 従事するものの一義務たるべし     (乙) 明治卅二年暴風雨度数 明治三十二年は土佐の国に於て最多く暴風雨を感じたる年代の一なりそは同年中当国を 吹過せる暴風雨は其度数すべて三回にして先近頃になき厄年なりき其順序如左   七月九日   大雨洪水   八月廿八日  最大暴風   九月八日   大暴風     (丙) 七月九日大雨洪水 明治三十二年七月九日は同年中土佐国に感じたる第一回目の暴風雨日なり其景況後日大暴 雨の参照となるべければ中央気象台幷高知測候所の報告により其概況を録せん当日の暴風 雨は急遽の間に起りたるにあらで四五日前より已に其徴候を現はし凡本邦に起れる暴雨進 行の普通の経路を履みたるものなり其順序左の如し  四日 台湾北方に始て低気圧を生ず中央気象台警報を発す  五日 ‥‥‥‥  六日 低気圧沖縄に移る  七日 低気圧大島に移る長崎以南已に風雨となる  八日 低気圧九州に移る浜松以西暴風雨となる高知は午前十時より暴雨を感ず  九日 低気圧大分近傍を掠めて日本海に出づ高知県下一体に雨量多く大水溢出す 暴風進行の順序は略右に述べたる如くなるが高知に於ける同日の風力は九日午前三時半の 観測に一秒時間(〇〇〇〇)に三十一米 半(〇) (即一百〇四尺一時間約九十五里位)を示しぬ是を同期暴風 の最強度数となす 次に雨量は九日午前二時より同六時まで四時間に七十二粍の深あり一時間(○○○)平均 十八粍(〇〇〇)にし て是を同期暴雨の最多量時間となす 抑同期は暴風雨は低気圧の近づきし頃雨脚一体に急を加へ八日九日二日間の総量は三百十 四粍即一坪面の水量六石七斗五升余の大量に達し驚くべき溢水をなして高知市の近傍に汎 濫せり