みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE2

土佐古今ノ地震 - 翻刻

土佐古今ノ地震 - ページ 39

ページ: 39

翻刻

れが為め八時前後に簿風が最大速度に達したる時は其風力を観測せん術なくして空しく其 千金の時刻を徒過したりしは実に非常の遺憾なりといふべし 然れば中央気象台出版の月報にも該時の暴風力に就ては格別の記載なく又大日本気象学 会の気象集誌にも左の如き普通にして落付きたる記載をなせるのみなりき  気象集誌十八年十号  明治三十二年八月全国気象概況  低気圧・・・大島ノ南ヨリ北東ニ急進シ二十八日夜四国ヲ縦断シテ内海ヲ過ギ同夜半伯  州ヲ経テ日本海ニ疾走セリ此大風ハ進行甚ダ急速ニシテ一時間凡六十浬ニシテ普通ノモ  ノニ比スレバ殆、二倍以上ノ急行ナリ随フテ風雨ノ吹降時間短少ナリシモ四国中国ノ一  部ハ為メニ著大ナル害ヲ被リ殊ニ四国ノ中央部ニ於テハ家屋ノ潰倒人畜ノ死傷近年ニ見  ザルモノトス 抑中央に於ける気象の研究は申す迄なく各地方測候所の観測材料を集めて之をなすものな れば該時の暴風が如何に激烈なりしとするも材料供給の根本たる地方測候所に器械の欠損 其他何等の事情の為にても観測の機会を失ひこれが材料の報告を欠ぐ時は中央の研究に於 て大々的の疎漏を来すは実に已むを得ざる次第なりといふべし此三十二年暴風の地方に比 類なき損害を興へしに引き代へ中央には至て落付き冷淡の観測を下せるにこれがためのみ 今左に風力計欠損前に於ける高知測候所に於て観測せる同八月廿八日の圧力、幷風力の統 詩を示す左の如し  第一表    午後十時   七四九、四二  西   ?    午後六時   七四六、三七  南東  九、九    午後二時   七五二、一一  南東  三、五    午前十時   七五四、九四  南東  五、〇    午前六時   七五六、七八  北   一、四    午前二時   七五七、五八粍 北北東 〇、九米          圧力 (海面上)  風向  風力 上表は四時間毎の観測にして高知測候所より中央気象台に報告する根本材料なるも午后八 時より始まり同十時に終りたりといふ僅々二時間許りに経過せる大暴風に就ては其圧力と