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コレクション: STAGE2

土佐古今ノ地震 - 翻刻

土佐古今ノ地震 - ページ 43

ページ: 43

翻刻

(ヘ)稲荷新地、唐人町、菜圓場、大川筋等すべて河川を前に控へたる所は屋形船平船等    の陸上に吹き上げられたるもの多かりき (ト)神社に就ては先潮江天満宮は大鳥居、楼門皆転覆し杉の大木数本は本殿に倒れかゝ    り藤並宮は松杉其外の大木数十本算を乱して往来に倒れかゝり鳥渡前方も見通し難    きは深山路の景色に似たり公園熊野神社は問囲の大木半ば根こげとなり石立八幡宮    は古来有名の一本杉倒れ社殿ぼ半潰となり山田町八幡宮は拝殿の屋根を残らず取ら    れて只柱のみとなり其外洞島神社、稲荷新地、稲荷宮等の惨状は見るに忍びず一宮    土佐神社の長曽我部時代の名残といはれし並木の大杉も過半は根倒となりき (チ)東孕字『アサダヲ』と称する山林は山内家の扣にて杉桧の大木隙間なく生立ち其数数    万本昼尚暗く同家財産中屈指のものなりしが樹木は大概倒れ或は幹の中央より折れ    会ま〳〵倒れざるものは枝は千切れ皮は剥げ遠くより見れば唯白箸を立てたる如き    古き神代の歴史に青山を枯山となすもかゝる有様をやいふかと恐ろしき程の光景な    り (リ)潮江村真如寺山の山内家歴代の御墓は平素樹木森々と生ひ茂り外部より窺ふも内容    はすべて望見し難かりしに大木小木算を乱して根本又中幹より折れ砕け残木扶疎と    して恰も禿山の如き有様となれり (ヌ)同夜の暴風に己に塒に宿りし鳥類は忽は度を失ひ或は枝に打れて死する者多く藤並    宮には鴉の死せる者二羽を見出し石立八幡宮には唐鳥と鳶の尸骸あり桜馬場某氏    の竹藪には雀百五十六羽拾ひしとぞ (ル)五台山上竹林寺の景致たりし三重塔並鐘楼は全く潰倒して微塵となりぬ  其外高知市内外に於て病院、学校、寺院、会堂並に私人の建物、料理屋、旅店等の全  潰半潰となりしもの一々枚挙にたへず今先高知市のみに就て損害の高を記すれば左の  如し    全倒家屋    二百四十三棟    同 納屋    九十二棟    同 便所    一百六十四棟    半倒家屋    一百九棟    同 納屋物置  五十四棟    同 便所    七十七棟    死者      五人 (男三人女二人)    傷者      二十一人 (男九人女十二人) (ニ)安芸郡