翻刻
出丸御蔵きのふの地震に大破損御堀端の御蔵米堀中へ陥る
事弐百表計り地震以来むく鳥夥し夜に入とも啼くその
声牙たちて物冷し一丁通し有事記左の如し
此節度々之地震二付色々虚説申触候向も有之哉二相聞以之外二
候条右等之風説決而信用と致間敷候全ク虚二乗し訟拠も
無之儀を申出し人気を騒かし変事中不埒之至候右躰
跡形も無之虚説を申触候者ハ其本聞届速々差押候様役
筋へ急度申渡置候間此段可被越事前二且下人等へも心得違
無之様厳敷可被申付候
四月朔日半晴半曇けふも小ゆり折々あり先夜の雨漏り二
懲りて家々戸々なへて小屋かけかゆるそのうへ大ゆれたひ
重れハいつ果つへきや天変人智の給ふ所ならすもかりそめに
造り立たる竹からみ小屋はりこほちほり立柱にぬまぶき屋
根弐間九尺或ハ弐間三間おの〳〵家族の多少に随ひ数月も
こゝに凌んと構ふされハ縄竹杉木葭簀茅簀なんと
伝テあしきハ求めえる事難しわけてぬまふき藁近郷に
絶果たり酉の刻過二けり東の方近郷に螺貝ふき在
鐘たゝち鳴らすすへて此国郷中の風俗火災ある時ハ鐘たゝち
ならし盗賊あるひハ臨時の変に螺貝鐘うち交をてその変
を伝ふ螺貝鐘うち交るハ火災ならす盗賊ならハ時刻も