翻刻
あるへきにいふ可と近隣衆評決しかたしに螺鐘の音ハ
漸にひろこりて数ヶ村に伝ひその冷しき事いふもさら也
元亀天正の軍物語りさへ思ひ出られ今や鉄炮飛ひ来り
円刃ひらめき出んかと歎るしはらくありてある人云賊数十人
党して豪家〳〵に押入り財を奪ふそかために備ひを
もふくと稲田橋詰に市中の長吏共とり囲め近辺の辻々
階子を以て往来を遮ると夜明けてきけハ酔客壱人怪しけ
なるを野田村辺にて捕ふるより事興けりとそさきつ日
津波の妄言にも悟らすかゝる変中一丈慮を吼へ万丈雷
同する世の通情にくむへし
二日快天南気むせ暑し昼小ゆり六七度夜亥の刻一度
寅の下刻一度あり地震以来けふに至る迄諸商人壱人も来らす
夜に入また快天いと寒し壱丁通し有り事記左のことし
此度両日之地震二付一統難渋二可有之候得共御時節柄差当り取
計兼候間先ツ一ヶ月諸上納之分手寄二而拝借相願御貸被成候間難渋
之面々は明後四日五日両日之内勝手次第御勘定所へ罷出受取可被申候
尤上納之義は月々諸上納外於六ヶ月割合を以当月御扶持方ゟ可
被相納候 御目付中
右之通御大中老中御達有之候二付御通達申候
三日快天昼地震なし夜小ゆり両度扨も大雨後膝入る候