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形勢(ぎやうせい)あたかも天地(てんち)をくのがへすかと思(おも)ふばかりに恐敷市中方(おそろししちうがた)の大将(だいしやう)
には土(つち)屋 蔵(くら)の守厚壁(かみあつかべ)。鬼瓦(おにがはら)の兜(かぶと)に観音(くわんのん)びらきの大 鎧土台(よろひどだい)の右(みし)の
駒(こま)にまたがり丸太(まるた)の鎗(やり)を小 脇(わき)にかい込夜打(こみようち)と見るより無二(むに)無三に
ゆらるゝ中へ突(つい)て入(い)れど何(なに)かは以てたまるべき勿地数(たちきちすち) ̄ヲ所(ところ)の深手(ふかせ)を哀(あはむ)か
崩れ立て引退く入替つて馳出るは敷瓦巴の助棟木牛の助
鴨居戸庄司平家安全なんどいへる一騎当千のめん〳〵揺高目
がけて討てかゝれど手にたつものはあらどこそ微塵に成て敗走なす
鯰方(なまづかた)には悪風(あくふう)さつと吹来(ふきく)ると等(ひと)しく二陣(にぢん)にひかへし飛火(とびひ)のが勢(せい)
三十七ゖ所(しよ)一 度(ど)に火の手をあげる程(ほど)に煙(けふ)り焔々(ゑん〳〵)として天(てん)をこがし深夜(しんや)も
さながら昼中(はくちう)の如(ごと)く諸々(しよ〳〵)八方へ焼立(やけたて)〳〵火花(ひはな)を散(ちら)して戦(たゝか)ふにそれ
ばせなる逃足(にげあし)ひよろ助。唐(から)田 千(ちゞ)地丸。身骨久治吉(ほねこじきあさら)。張下茂(したながい)。大目
の玉(たま)出太郎。なんど呼(よば)る後(おゝ)病 武者万歳楽(むしやまんざいらく)としるたる旗指(はたさし)物を押(おし)立て
陣(ぢん)を張(はつ)たる前 後(ご)よりもみ立 焼立攻(やきたてせめ)かけられ親うたるれども見かへらずなは
焼(やか)るれども救(すく)うにひまなくこれも同じく敗走(はいさう)す勝(かつ)手方に軽(ひか)へたる竈(おまど)
将軍(しやうぐん)火の元の消住(けしずみ)は火消 壺(つぼ)の兜(かぶと)に吉井女作(よしゐむすさく)の火打 鎌(がま)の前立ものに
あぶりこおどしの鎧荒神となづけたる絵馬にまたがり曳愚の手綱ないくり
七りん〳〵と乗(のり)出せば附従(つきしたが)ふめん〳〵には鍋釜茶賀丸(なべかまちやがまる)。鉄績(つなさび)。薬庵(やくわんの)太夫
底盛(そこもり)。瀬戸(せと)物地 割(われ)の助ひゞ武(たけ)。蓋(ふた)物に鉢(ばち)郎。三組。徳利 招(めん)四郎。酒(さか)月
猪(ちよ)九郎。本膳椀(ぜんわん)九郎。陣(つぎ)の平助をはじめとして手に〳〵吹(ふき)竹金大 著(なし)あるひは
鉄久(てつきう)さい箸(ばし)の得(ゑ)物々を引 提(さげ)て板(いた)の間(ま)が原へおし出せば諸(しよ)道具 山(まさ)にこわれんと