みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE2

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - 翻刻

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - ページ 15

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つきて《ルビ:宿直|しゆくちよく》を為し居たる十五名の同局員は《ルビ:押|おし》に打たれて命もほと〳〵《ルビ:危|あやう》かりしも其内十二 名は《ルビ:崩壊|ほうくわい》せし硬石の間に《ルビ:挟|はさ》まりて不思議にも《ルビ:危難|きなん》を《ルビ:免|まぬ》かれ雇員岡谷錦二郎、伊藤雅次、 近藤鍬次郎の三氏及び集配人福岡辰次郎は一度に《ルビ:通用門外|つうようもんぐわい》まで《ルビ:逃|のが》れ来りし時上層より 落ち来る《ルビ:角石|すみいし》、《ルビ:煉瓦|れんぐわ》、《ルビ:梁|はり》等の為めに頭上を打たれ《ルビ:破瓦|はぐわ》の《ルビ:中|うち》に《ルビ:埋|うづ》められて敢なく非命の死 を《ルビ:遂|と》げしは憐れといふも愚かなり《ルビ:此際|このさい》《ルビ:心利|こゝろき》きたる局員某氏 (不思議に命を助かりたる 右十二名中の一人なれども其名を《ルビ:聞洩|きゝも》らしぬ) は再び《ルビ:屋内|をくない》に取って返し《ルビ:此時|このとき》猶ほ煉瓦 の《ルビ:続々|ぞく〴〵》崩れ来るを事ともせず局内に《ルビ:据付|すゑつ》けありし《ルビ:電信機械|でんしんきかい》を《ルビ:取外|とりはづ》し必死を極めて屋外 に《ルビ:逃|のが》れ出しに《ルビ:帽子|ぼうし》も《ルビ:洋服|やうふく》もモーターの砂に《ルビ:塗|まみ》れて《ルビ:宛然|さながら》灰をかぶりしに異ならず其働き 左もこそと思ひ遣られて之を見る人さへ身の毛いよ立つ程なりしとなり而して同局に ては其《ルビ:横町|よこちやう》へ《ルビ:板圍|いたがこ》ひの仮小屋を設け十一月六日より《ルビ:電信機械|でんしんきかい》を据付け早くも公衆の為 めに電信を《ルビ:取扱|とりあつか》ふ事となりしが若し此某氏なかりせば斯く速かに《ルビ:電信|でんしん》を開通するには 至るまじきにと《ルビ:孰|いづ》れも同氏の《ルビ:効|かう》を《ルビ:賞|しやう》したりとぞ  《ルビ:編者|へんしや》附て云ふ煉瓦造家屋を《ルビ:建築|けんちく》せんとするには先づ其土台を堅固ならしむる事、  《ルビ:砂利|しやり》《ルビ:石灰|いしばひ》セメントの《ルビ:混和物|こんわぶつ》を造るとき《ルビ:其割合|そのわりあひ》を失はざる事、《ルビ:精良|せいりやう》のセメントを選ぶ  と煉瓦を《ルビ:積上|つみあ》ぐるに下を厚くして次第に之を薄うする事等に《ルビ:注意|ちうい》せざる可からず英  国の《ルビ:建築条例|けんちくでうれい》には此辺の《ルビ:規定|きてい》を設け不合格のものは之を改築せしむることとなり曽て  《ルビ:内務省|ないむしやう》にて《ルビ:取調|とりしら》べたる建築《ルビ:条例案|でうれいあん》にも此規定を設けたる由なるが《ルビ:夫|か》の東京日比谷《ルビ:旧|きう》  《ルビ:操練所|さうれんしよ》に於ける司法省及び諸裁判所と其の《ルビ:南側|みなみがは》なる海軍省の《ルビ:建造物|けんざうぶつ》は最も此等の点  に意を用ひ土台には《ルビ:大松材|おほまつざい》を《ルビ:幾本|いくほん》となく打込み《ルビ:其間隙|そのかんげき》に砂利を《ルビ:叩|たゝ》き込みたる《ルビ:後|のち》《ルビ:石灰|いしばひ》  と《ルビ:砂利|じやり》を《ルビ:混和|こんわ》したるものを《ルビ:布|し》き《ルビ:堅牢|けんろう》なる《ルビ:地形|ちぎやう》を作り其の上に煉瓦を積みたるものな  るが其の之を積上ぐるにも決して《ルビ:手間|てま》を省かしめずセメントを煉瓦の全面に塗らざ  れば之を積ましめず念に念を入れたるのみか《ルビ:煉瓦|れんぐわ》の間に鉄の《ルビ:延板|のべいた》を積入れ《ルビ:脆|もろ》き煉瓦  の裂くるとあるも《ルビ:靭力|じんりよく》ある《ルビ:鉄板|てついた》にて之を支ふることとなし万一の変に備ふるの《ルビ:注意|ちうい》《ルビ:周|しう》  《ルビ:到|たう》なりと云へば非常の震動のあらざる以上は決して《ルビ:潰倒|くわいたう》するの虞れはなかるべし然  れば煉瓦《ルビ:家屋|かをく》を《ルビ:建造|けんぞう》するには時と金とを吝まずして其堅牢ならんことを専らとなす  べき筈なるに《ルビ:近頃|ちかごろ》《ルビ:地方|ちはう》は勿論東京市内に《ルビ:建築|けんちく》する煉瓦《ルビ:家屋|かをく》と雖も往々費用を《ルビ:吝|をし》みて