翻刻
たれば《ルビ:撞木|つゝはり》をなして之を支へ漸く《ルビ:軒下|のきした》にて事務を取扱ひ居れり、《ルビ:罹災者|りさいしや》は何れも《ルビ:道路|だうろ》
に《ルビ:小家掛|こやが》けをなし猶《ルビ:道路|だうろ》《ルビ:狭隘|けふあい》にて危険の《ルビ:虞|おそれ》あるものは熱田神宮社内に難を《ルビ:避|さ》けて小家
掛けをなし《ルビ:衣類雑具等|いるいざつぐとう》の《ルビ:運搬|うんぱん》をなす為め其《ルビ:混雑|こんざつ》実に名状すべからず《ルビ:負傷者|ふしやうしや》は直に伝馬
町の《ルビ:駆梅院|くばいゐん》にて《ルビ:治療中|ぢれうちう》なるが十月卅日までの取調同町《ルビ:震災被害|しんさいひがい》の統計は《ルビ:全潰戸数|ぜんつぶれこすう》四百
三十戸、《ルビ:半潰戸数|はんつぶれこすう》七百九十戸、《ルビ:倉庫崩壊|さうこはうくわい》二百八十戸、《ルビ:寺宇破壊|じうはくわい》十六ケ寺 (其他山門庫
裡等の一部破壊せしもの三十ケ寺あり)《ルビ:圧死人|あつしにん》五十名、《ルビ:負傷人|ふしやうにん》三十五名、《ルビ:橋梁破壊|けうれうはくわい》ニ
ケ所、爾後《ルビ:焚出|たきだ》しを受け居る《ルビ:貧民|ひんみん》二千二百七十八人なりと
〇尾張紡績会社の惨状 《ルビ:今回|こんくわい》の《ルビ:大災|たいさい》中に就いて其の最も《ルビ:悲惨|ひさん》の景況を呈したるものは
熱田町の尾張《ルビ:紡績会社|ばうせきくわいしや》なり同社に於ては《ルビ:大震災|だいしんさい》の《ルビ:払暁|ふつけう》即ち十月廿八日午前六時頃夜業
《ルビ:工女|こうぢよ》四百名は昼業工女四百五十名と《ルビ:入交|いりかは》りて間もなきことなりしが為め右《ルビ:昼業|ちうげふ》工女数
百名は実に此の《ルビ:震災|しんさい》の中心に《ルビ:捲|ま》き《ルビ:込|こ》まれたるものと云ふべく彼等工女が其の《ルビ:業|げふ》に《ルビ:就|つ》き
しや否や《ルビ:轟然大震動|がうぜんだいしんだう》を来たし忽ち《ルビ:魏峨|ぎが》たる煉瓦建物を《ルビ:破壊|はくわい》したるにぞ《ルビ:無残|むざん》にも其内三
十七名は《ルビ:即死|そくし》し《ルビ:負傷者|ふしやうしや》は百十三名に至りしが該工女等は斯の《ルビ:会社|くわいしや》ありて漸く其の口を
【図の表題】
名古屋清水町之惨状