みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE2

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - 翻刻

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - ページ 24

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川左岸に《ルビ:在|あ》りし一町余の《ルビ:竹藪|たけやぶ》は震動の際《ルビ:俄然|がぜん》川幅百間余の処を《ルビ:超|こ》えて《ルビ:対岸|たいがん》に移りし事 ありき個は《ルビ:地面|ぢめん》に一大《ルビ:陥落|かんらく》を生ずると共に《ルビ:地皮|ちひ》の幾部分が他の一方へ《ルビ:投出|なげいだ》さるヽもの にして之を大にすれば《ルビ:山嶽|さんがく》も亦其位置を《ルビ:異|こと》にすることあるを以ても知るべし云々《ルビ:誠|まこと》に《ルビ:奇|き》 《ルビ:怪|くわい》の現象と《ルビ:謂|い》ふべし ●清州の震災  同郡清洲町は《ルビ:戸数|こすう》四百四十五戸、人口千百六十三人を有する処な るが《ルビ:潰|つぶ》れ家は三百三十六、《ルビ:死者|しゝや》は六十四名の多きに及び即ち全町八分通りの《ルビ:損害|そんがい》を被 り全く《ルビ:壊倒|くわいたう》し了らざる家屋と雖も柱、鴨居等は悉く《ルビ:潰落|くわいらく》したり又右六十四名の圧死者 中五十名までは《ルビ:歩兵隊|ほへいたい》の尽力にて《ルビ:発掘|はつくつ》したるも残り六名の《ルビ:死体|したい》は数日を経たる後ち漸 く《ルビ:塁々|るい〳〵》たる破瓦の中より《ルビ:堀|ほ》り出し得たりと又《ルビ:潰|つぶ》れ家の内より《ルビ:出火|しゆつくわ》したるも一戸焼失せ しのみにて《ルビ:延焼|えんせう》に至らず街道は処々《ルビ:亀裂|きれつ》を生じたる抔見るさへ《ルビ:物凄|ものすご》き有様なり清洲町 の斯く《ルビ:惨憺|さんたん》を極めたるに《ルビ:引換|ひきか》へ同町より西数十町を《ルビ:隔|へだ》てたる四ケ村内には随分古びた る《ルビ:家屋|かをく》あれども潰れ家は全戸数の《ルビ:半|なかば》にも達せざるは《ルビ:最|い》と不思議なり夫より下津村に到 れば茲にも数ケ所の《ルビ:地割|ちわ》れありて其裂口より《ルビ:泥水|どろみづ》を夥しく《ルビ:噴出|ふきだ》し居るを認め同村近傍 の《ルビ:田地|でんち》には数日後と雖も猶ほ《ルビ:濁水|どくすゐ》を《ルビ:湛|たゝ》へ居るを認めたり ●犬山町の震災   丹羽郡犬山町は《ルビ:総戸数|そうこすう》千六百三十二戸の《ルビ:市街|しがい》なるに《ルビ:罹災家屋|りさいかをく》四百 九十戸《ルビ:死亡|しばう》三十五名《ルビ:負傷|ふしやう》五十八名と聞けど魚屋町余阪町練屋町《ルビ:殊|こと》に甚だしく投町本町 の如きも《ルビ:大半倒潰|たいはんたうくわい》せり同地震動当初の《ルビ:模様|もやう》を聞くに轟然一声《ルビ:怒響|どきやう》と共に震動忽ち至り 《ルビ:瞬時|しゆんじ》に市街を《ルビ:蹂躙|じうりん》したれば中天為めに暗黒人々《ルビ:塵煙|ぢんえん》に咽ぶのみ忽ち四辺に《ルビ:悲鳴|ひめい》の声起 り塵煙の間に《ルビ:家屋|かをく》殆んど倒潰したるを見る間もなく《ルビ:救援|きうえん》を乞ふて家屋に《ルビ:圧伏|あつふく》せられた る《ルビ:眷族|けんぞく》を抜き出さんとする者所々に在り然るに《ルビ:火|ひ》を失する者二三ケ所ありたれば人々 の《ルビ:狼狽|らうばい》一方ならざりりしが先づ諸事を《ルビ:抛|なげう》ち何れも消防に力を尽せし為め一人《ルビ:焼殺|せうさつ》し三 戸を《ルビ:焼失|せうしつ》したる迄にて《ルビ:火災|くわさい》は消止めたりと後に見れば《ルビ:劇震|げきしん》の為め進むと能はず土蔵 の前に母子三名《ルビ:整座|せいざ》して《ルビ:圧死|あつし》せられたるもあり《ルビ:僅|わずか》に家を出でしも《ルビ:檐庇|のきひさし》落て圧死せらる 〻もあり《ルビ:檐下|のきした》を離れしも町幅の《ルビ:狭|せま》き為め屋瓦に《ルビ:打|う》たれて死するもあり一戸にして三名 若くは四名《ルビ:圧死|あつし》せられたるもあり《ルビ:重傷死|ぢうしやうし》に至る者の中には《ルビ:大石|たいせき》に圧せられ此石を《ルビ:刎|は》ね 退けしに《ルビ:太股|ふともゝ》の皮肉悉く《ルビ:離脱|りだつ》し僅に骨のみ《ルビ:粉末|ふんまつ》となりて存するものありしとなん