みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE2

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - 翻刻

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - ページ 31

ページ: 31

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見て《ルビ:小使|こづかひ》は如何せしかと呼び《ルビ:試|こゝろ》みしに中には婦人の声にて一二《ルビ:声救助|せいきうぢよ》を呼はりたり然 れば《ルビ:此家|このや》に人ありと《ルビ:近傍|きんばう》二三の者《ルビ:駈付|かけつけ》来り《ルビ:家根|やね》を《ルビ:穿|うが》ち救助せんとせしに一縷の《ルビ:烟瓦|けむりかはら》の 《ルビ:隙|すき》より立ち上り既や《ルビ:失火|しつくわ》と見えしかば遂に小使母子を《ルビ:助|たす》くるに暇なくして僅に《ルビ:火|ひ》のみ 《ルビ:消|け》し止めたり此死体は《ルビ:上半身|かみはんしん》悉く焼けて《ルビ:下半身|しもはんしん》のみ形を存せし儘誰れ《ルビ:取片付|とりかたづ》けんとも せざれば《ルビ:翌|よく》二十九日まで警察署構内に《ルビ:打|う》ち《ルビ:捨|す》てありしは《ルビ:哀|あは》れと云ふも《ルビ:愚|おろ》かなり斯くて 《ルビ:倒|たを》れ家は忠節町に多かりしも《ルビ:幸|さいはい》にして火を失せず警官其他人民の《ルビ:救護|きうご》により一命を助 かりし者《ルビ:多|おほ》かりしが鍛冶屋町の火は《ルビ:漸次|ぜんじ》火勢を増して八方に《ルビ:燃|も》え《ルビ:移|うつ》り午後二時頃に至 て西北の風さへ《ルビ:吹|ふき》起りしかば火は東南に向つて《ルビ:驀地|まつしぐら》に《ルビ:焼|や》き《ルビ:立|た》たり当時市民は《ルビ:震災|しんさい》を避 くるに《ルビ:狼狽|らうばい》して火を防がんともせず長良川《ルビ:堤塘|つヽみ》を始め公園、県庁前、警察署《ルビ:構内|かうない》其他空 地々々へ《ルビ:逃|に》げ出し先づ互に万死を《ルビ:遁|のが》れたるを賀するの外なかりしが《ルビ:忽|たちま》ち火は八方に《ルビ:燃|も》 え《ルビ:移|うつ》り漸次自家に及ぶより子は親を助け親は子に《ルビ:助力|じよりよく》して我れ勝にて《ルビ:家財|かさい》を持ち《ルビ:運|はこ》ベ り《ルビ:然|しか》るに白木町、米屋町、桜町辺を《ルビ:焼|や》きしは実に《ルビ:咄嗟|とつさ》の間にして《ルビ:迚|と》ても家財を持ち《ルビ:運|はこ》ぶ べき《ルビ:暇|いとま》なきより我身一つにさへ《ルビ:持|も》て《ルビ:余|あま》し命から〴〵稲葉山に《ルビ:遁|に》げ出したるは実に《ルビ:眼|め》も 岐阜市外焼跡之図