みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE2

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - 翻刻

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - ページ 38

ページ: 38

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《ルビ:末|まつ》、《ルビ:気|き》の《ルビ:毒|どく》とも《ルビ:何|なん》とも《ルビ:言|い》ひやうなし《ルビ:是|こ》れさへあるに数日間《ルビ:震動|しんどう》《ルビ:尚|な》ほ《ルビ:止|や》まず《ルビ:昼夜|ちうや》ゆら 〳〵とゆり《ルビ:動|うご》き《ルビ:時々劇震|とき〴〵げきしん》ありて《ルビ:肝|きも》を《ルビ:冷|ひや》すと一日四五《ルビ:回|くわい》に《ルビ:下|くだ》らず《ルビ:左|さ》れば人々安堵をなす 《ルビ:間|ま》なく《ルビ:何事|なにごと》も《ルビ:手|て》に《ルビ:着|つ》かず宛も地獄に在るの《ルビ:思|おも》ひあり《ルビ:此際慈善家|このさいじぜんか》の《ルビ:救済|きうさい》なくば幾万の罹 災者は《ルビ:何|なに》を《ルビ:以|もつ》て其苦難を《ルビ:免|まぬか》る〻ことを《ルビ:得|う》べき《ルビ:今回|こんくわい》の震災は《ルビ:実|じつ》に《ルビ:聞|き》きも《ルビ:及|およ》ばぬ惨状なり 〇岐阜市の人力車賃 《ルビ:岐阜市内|ぎふしない》の人力車数は五六百《ルビ:輌|りやう》に《ルビ:過|す》ぎざりし《ルビ:処|ところ》《ルビ:今度|こんど》の震災に《ルビ:就|つい》 て《ルビ:家屋|かをく》の崩壊と《ルビ:共|とも》に《ルビ:破損|はそん》したるもの《ルビ:多|おほ》く目下の《ルビ:残物|ざんぶつ》は《ルビ:僅|はづ》か百輌に《ルビ:過|す》ぎざるを《ルビ:以|もつ》て《ルビ:差当|さしあた》 り《ルビ:需要供給|じゆようきようきふ》の《ルビ:度|ど》を《ルビ:失|しつ》し震災当時の《ルビ:如|ごと》きは其賃銭非常に《ルビ:高価|かうか》にて一《ルビ:里|り》一《ルビ:円|えん》《ルビ:以上|いじやう》なりしが 《ルビ:警察署|けいさつしよ》の《ルビ:注意|ちうい》にて十一月一日より一《ルビ:里|り》十《ルビ:銭|せん》と《ルビ:定|さだ》めたり《ルビ:左|さ》れども道路の《ルビ:大破|たいは》《ルビ:実|じつ》に《ルビ:云|い》ふ《ルビ:許|ばか》 りなければ《ルビ:当分|たうぶん》の《ルビ:内|うち》は一《ルビ:里|り》十《ルビ:銭|せん》の賃金も《ルビ:強|あなが》ち《ルビ:高|たか》しとの《ルビ:感|かん》は《ルビ:先|ま》づ浮ばざる位なりき ●《ルビ:根尾谷の惨状|○○○○○○》  今回の地震に美濃国本巣郡根尾谷の《ルビ:山崩|やまくづ》れ《ルビ:地凹|ちくぼ》みて惨状を極めし 由は巳に前項にも《ルビ:記|しる》したるが尚ほ其詳細を記さんに美濃国大野、本巣両郡の《ルビ:境|さかひ》に根尾 川と云ふあり糸貫川の《ルビ:上流|じやうりう》にして其水源は大野郡西根尾村能郷に在る白山 (加賀の白 山とは《ルビ:異|こと》なり)に発する者なるが此根尾川の《ルビ:上流|じやうりう》に沿ふて大川原と云ふ所より岐阜の 《ルビ:西北|せいほく》一里余の山口と云ふ所までの《ルビ:間|あいだ》十里余の深谷を根尾谷と《ルビ:総称|そうしやう》し川筋より西は大野 郡に属し東は本巣郡に《ルビ:属|ぞく》す三個の組合役場、十九箇の《ルビ:村落|そんらく》、千有二戸の《ルビ:民家|みんか》を有し其 一村毎の《ルビ:戸数|こすう》は三四十戸に過ぎず十月廿八日の《ルビ:地震|じしん》の際此方角に於て劇しき地警の音 聞えしかば下流各村の者は大に《ルビ:恐|おそ》れ居りて大震動の止みし《ルビ:後|のち》二三の者が同谷中に《ルビ:跋渉|ばつせう》 し《ルビ:実況|じつきやう》を目撃せしに大野郡高尾、本巣郡金原以北能郷長島まで凡七里の《ルビ:間|あいだ》と大野郡徳 の山、本巣郡長嶺との間に於て《ルビ:山腹崩潰|さんぷくほうくわい》し地盤陥落等の《ルビ:変状|へんじやう》あり馬坂の北及び矢谷等 崩潰最も甚だしく長島《ルビ:以南|いなん》長嶺門脇等の間も同様にて孰れも土砂の《ルビ:崩潰|ほうくわい》せし上に巨石 怪巌《ルビ:顚|ころげ》落ち《ルビ:所々|しよ〳〵》に堆積し居れり《ルビ:又地盤|またぢばん》の陥落せしものは六七箇所にて《ルビ:甚|はなは》だしきは川敷 水平面より《ルビ:凹|くぼ》み落つること数十丈《ルビ:家屋人畜|かをくじんちく》其中に没し板所と《ルビ:水鳥|みとり》との間は橋落ち《ルビ:渓谷|けいこく》 を《ルビ:没|ぼつ》し水流は此処に《ルビ:瀦溜|ちよりう》し為に下流は水涸れ僅に一細流を存するのみとなれり右の次 第にて住民の家屋は地震のために《ルビ:顚倒|てんたう》せし上土砂に圧せられ或は《ルビ:土中|どちう》に陥没して一も 《ルビ:全|まつた》きものなく其惨状実に《ルビ:言語|げんご》に絶し平野、板屋、板所、市場、門脇等は《ルビ:住民|ぢうみん》の生き残 りし者殆ど無しと云ふも可なる《ルビ:程|ほど》にて各村を《ルビ:通|つう》じ潰れ家八百六十九戸、半潰家百一戸、