翻刻
の《ルビ:兀山|はげやま》となり《ルビ:居|を》れるを《ルビ:認|みと》めたり余が水鳥に《ルビ:至|いた》りし頃は未だ前記の如く水流此処に《ルビ:瀦|ちよ》
《ルビ:溜|りう》するには至らざりしも若し《ルビ:大雨|たいう》あらば河水は必ず此処に漲溢して《ルビ:崩潰|はうくわい》するの虞あ
るべしと思へり《ルビ:夫|それ》より猶ほ進んで長島村に赴かんとせしに此処より《ルビ:奥|おく》は陥落諸所に
ありて《ルビ:道路|だうろ》愈々嶮悪《ルビ:輙|たやす》くは往復し得ざるべしと語る者あり《ルビ:余|よ》は露宿の《ルビ:準備|じゆんび》なきを以
て已むを得ず中途より《ルビ:引返|ひきかへ》し終に其奥を実撿するを得ざりしが《ルビ:村民|そんみん》の言ふ所にては
長島村にも亦長さ三百間余、幅七十間の陥落ありて《ルビ:其深|そのふか》さは水島村のものよりも猶
ほ一《ルビ:層深|そうふか》しとの事なり其他は前項の記事と《ルビ:異|こと》なる所なくして《ルビ:惨憺|さんたん》たる形状は《ルビ:人|ひと》をし
て《ルビ:魂銷|こんせう》し《ルビ:魄飛|はくと》ぶに至らしむと雖も此大陥落を以て今回大地震の《ルビ:原因|げんいん》なりとするは抑
〻亦誤りなり何となれば此地の《ルビ:陥落|かんらく》は著大なるに《ルビ:相違|さうい》なきも《ルビ:之を日本全土の上より|ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》
《ルビ:見れば頗る蕞爾たる現象にして例へば猶ほ十里の長堤に蟻の孔を生じたるが如き者|ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ》
《ルビ:なれば是に依りて|ヽヽヽヽヽヽヽ》《ルビ:其震動を面積一万方里以上の広きに及ぼす事なきや明からなるべし|○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○》
世間数多き人々の中には《ルビ:徃々|わう〳〵》此地を以て地震の中心なり震動の《ルビ:原因|げんいん》なりと為す者な
きにも《ルビ:非|あら》ざれば爰に数言を費して聊か其妄を《ルビ:弁|べん》す是も亦編者の老婆心なり
【図の表題】
大垣町家屋潰倒之図