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コレクション: STAGE2

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - 翻刻

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - ページ 72

ページ: 72

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て《ルビ:恒常|こうじやう》《ルビ:無体|むたい》の《ルビ:運動|うんどう》をなす)の《ルビ:余勢|よせい》地皮の最も脆弱なる《ルビ:部分|ぶぶん》に於て顕はるゝものにし て今回濃尾越の《ルビ:強震|きやうしん》の如きは実に《ルビ:此類|このるゐ》に属するものと《ルビ:認定|にんてい》せざるを得ず左に各般現 象《ルビ:観察|くわんさつ》の件を《ルビ:挙|あ》げて之を《ルビ:証明|しようめい》せんとす     震災地の地質 本書に《ルビ:添附|てんふ》する《ルビ:地質調査所刊行中|ちしつてうさしよかんかうちう》部予察地質図は今回強震《ルビ:地方|ちはう》の《ルビ:地質搆造|ちしつこうぞう》を通覧す るに最も《ルビ:簡便|かんべん》のものにして其白色なる《ルビ:地面|ちめん》は総て《ルビ:新成|しんせい》の地層にして砂、粘土、礫、土 壌より成る之を第四紀《ルビ:地層|ちそう》と稱す即ち《ルビ:軽鬆|けいしやう》の《ルビ:搆造|こうざう》にして《ルビ:被害|ひがい》の最も甚しかりしは《ルビ:根|ね》 《ルビ:尾谷|をたに》《ルビ:其他|そのた》《ルビ:数箇所|すかしよ》を除くの外は専ら此《ルビ:地面|ちめん》にありて彼の凹窪地を《ルビ:占|し》むるものなり又之 に《ルビ:接|せつ》する《ルビ:黄色|くわうしよく》の地は第三紀地層にして地盤(ちばん)漸く堅く黝灰色古生紀層の凹低(あふてい)なる部 分を掩蔽(えんへい)す藍色は中生紀層にして其下(そのしも)に位(くらゐ)する古生紀を併(あは)せて地盤《ルビ:鞏固|きやうこ》なれども其 《ルビ:地質|ちしつ》年代を経ること弥久なるに由り多く地変(ちへん)に遭遇(そうぐう)し層中裂罅を有(いう)すること尠なか らず代赭色は《ルビ:石英|せきえい》《ルビ:斑巌赤色|はんがんせきしよく》は花崗巌(くわがうがん)にして第三紀《ルビ:以前|いぜん》に噴出(ふんしゆつ)したる火成巌なり此 火成巌は蓋(けだ)し噴火の現象(げんしやう)を呈(てい)するものにあらず終りに黝褐色(ようかつしよく)にして往往円形を為す ものは噴火脈(ふんかみやく)に連なる《ルビ:火山|くわざん》巌にして火山《ルビ:地震|ぢしん》の中心点(ちうしんてん)となることあるものなり     地震区域 今回の震動を感じたる地方(ちはう )は 近年稀なる広大の区域(くゐき)を示せることは当時各地の電報に 拠て明瞭(めいれう)なり(当時隠岐に在りし人も可なりの強震を《ルビ:感|かん》じたりと云ふ)而して本邦各 地猶未だ験震器の《ルビ:設置|せつち》洽ねからさるに由り其強弱の程度は何(いづ)れの方面に於て幾許(いくばく)な りしやを識るに由(よし)なしと雖も其伊勢湾地窪及び其四近に動揺(どうえう)の著しかりしは争ふべ からざるの事実(じゞつ)なるべし然れども同地方(どうちはう)に於て何れの地最も烈震なりしやは其当時(そのとうじ) に於て観測(くわんそく)を遂ぐるにあらざれば得て窺ふべからざるものとす但し地質搆造(ちしつこうぞう)の学理 上より見るときは近美伊勢湾両断層交叉の処は《ルビ:地体|ちたい》最も薄弱(はくじやく)なる所なれば蕩揺を感 じたるも亦随て甚しかりしやに想(おも)はるゝなり仮りに地表に於て此線に当る地名(ちめい)を挙 ぐれば大垣墨俣美江寺江渡北方高富岐阜の一部関等の地位(ちゐ)なるも知るべからず然り と雖ども築造物(ちくぞうぶつ)の倒潰と地皮の裂断とを以て容易に震動の強弱を卜(ぼく)すべきにあらざ るは覩易きの理なり何となれば斯(かく)の如(ごと)きは広く動揺を受けたる今回(こんくわん)の如き地妖には