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コレクション: STAGE2

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - 翻刻

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - ページ 75

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 察(さつ)するに信憑(しんひやう)するに足(た)るべき時計を所持するの家能(いへよ)く幾戸かあらん加之(しかのみ)ならず物(もの)の  動揺(どうやう)を伝(つた)ふるに物質に由(よつ)て均(ひと)しからず平坦の被害地に於(お)けるすら発震時(はつしんじ)の符合(ふがふ)せざる  は此理(このり)に由(よ)るにあらずや  以上(いじやう)の二者允当と謂(い)ふべからず余(あま)す所(ところ)地辷地震あり即(すなは)ち大に現象の之(これ)に協(かな)ふものあ  り況(いは)んや顕著(けんちよ)の徴候を示(しめ)すものゝ外は本邦に於(おい)て発作する地震(ちしん)の大数は此類別中(このるいべつちう)に  ありとは近来地震学者及(きんらいぢしんがくしやおよ)ば地学者間に行(おこな)はる〻定説なるに於(おい)てをや然(しか)らば則ち今回  地震の源因(げんいん)は彼(か)の造山力に帰(き)せざるを得(え)ず此地動力は山脈の搆造(こうぞう)に関(くわん)して働(はたら)くもの  にして地皮収縮(ちひしうしゆく)は自然一方に膨脹(ぼうちやう)し他方に圧搾を起(おこ)すものなれば物体の不権衡《ルビ:随|したがつ》  て伴作(はんさく)し終(つい)に其弱所に於(おい)て挫折するに至(いた)る故(ゆゑ)に其由来甚だ遐にして一《ルビ:朝|てう》一《ルビ:夕|せき》の発作(はつさく)  にあらず又何(またいづ)れの点(てん)を取(とつ)て中心と定むべきなし原田博士日本地質搆造論に日(いは)く日本  北湾に於(お)ける地震の根原(こんげん)は多(おほ)く東の沿岸或は近海に在(あ)りと是(これ)を以(もつ)て之(これ)を見(み)るに該地  体のトスカロラ (海床地球上最深の《ルビ:海底|かいてい》にして四千六百五十五尋)に接(せつ)する所(ところ)の境界  は地震現象(ぢしんげんしやう)に於(おい)て重要なる関係を有するや是(こ)れ大(おほ)に吾人(ごじん)の注目を促すべきものなり と」又《ルビ:曰く|またいは》「日本近海の深処は亜細亜大陸に近(ちか)き所(ところ)にありて大約一千二百尋あり然(しか)るに  日本東面はトクカロラに接近(せつきん)せるを見(み)れば日本の地動(ぢどう)は日本海より起原(きげん)するにあら  ずやと」顧(かへり)みて西比利亜地方に於(おい)て第四紀の初(はじ)めに栖息したる古象及水牛の一《ルビ:種|しゆ》の  本邦(ほんぱう)に化石となりて発見(はつけん)するを以(もつ)て本邦(ほんぱう)は亜細亜大陸の何(いづ)れの地(ち)に於(おい)てか連続(れんぞく)した  りしも第四紀《ルビ:以降|いかう》日本海の陥落(かんらく)に由(よ)りて分離(ぶんり)したるならんとの説(せつ)あり而(しか)して日本海  の陥没(かんぼつ)は今尚停止(いまなほていし)せずとすれば前の二《ルビ:説|せつ》は本邦地辷地震の原因(げんいん)を説(と)くに於(おい)て緊要の  論拠(ろんきよ)なるべし      地震の前兆  震動地(しんどうち)の人(ひと)に就(つ)き今回地震の前表とも見做(みなす)すべき事実(じゞつ)ありしや如何を問(と)ふに多(おほ)くは  無(な)しと対(こた)ふ只名古屋測候所員は去る二十五日強震二《ルビ:回|くわい》あり元来同地方(ぐわんらいどうちはう)は測候所設立  以来(いらい)の経験(けいけん)に拠(よ)れば地震は甚(はなは)だ鮮く時に之(こ)れあるも微震(びしん)にして一《ルビ:日間|にちかん》に二回の強震  は実(じつ)に異数(いすう)と謂(い)はざるを得(え)ず今より之を観れば実に大震(たいしん)の先駆(せんく)たりしやと思(おも)はる《ルビ:〻|゛》  と云(い)へり