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コレクション: STAGE2

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - 翻刻

愛知岐阜福井三県 大地震見聞録(内題) - ページ 9

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は概ね《ルビ:陥没|かんぼつ》地に多くして略図中《ルビ:茶褐色|ちゃかつしよく》にて示せる部分は皆な此《ルビ:近古系統|きんこけいとう》に属するもの なるが故に今回の大地震に於ても亦其の《ルビ:震動|しんどう》を感ぜし事最も《ルビ:強|つよ》かりし《ルビ:道理|だうり》なり然るに 《ルビ:此学理|このがくり》に精しからざる普通人は地震は唯だ噴火豚の働きより《ルビ:生|しやう》ずるものとのみ心得居 るをもて往々《ルビ:附会|ふくわい》の説を称ふると無きにしもあらず現に東京二三の《ルビ:新聞社|しんぶんしや》には《ルビ:震災地|しんさいち》 の略図を出して此所が《ルビ:地震の中心なり|〇〇〇〇〇〇〇》などゝ示せしもあり又岐阜県庁にては同県下本 巣郡根尾谷の《ルビ:陥没|かんぼつ》太だしかりしを見て《ルビ:此所|このところ》が《ルビ:震源|しんげん》即ち地震の《ルビ:中心|◎◎》なるべしと妄信し其 旨を《ルビ:当時|たうじ》の官報に《ルビ:報告|ほうこく》せしは誤りも亦甚だしきものにして斯る《ルビ:現象|げんしやう》は唯だ震動の結果 として《ルビ:顕|あら》はるゝものなれば決して《ルビ:地震|じしん》の源なりとは云ふべからず要するに《ルビ:地辷|ちすべ》り地震 には《ルビ:中心|ちうし》なるもの無く断層の通じたる所にして同種の《ルビ:地質|ちしつ》を備へたる《ルビ:土地|とち》は《ルビ:従令|たとひ》五十 里百里若くは数千里を隔つるとも学理上同一の《ルビ:震力|しんりよく》を感ずべき道理にして斯る《ルビ:最爾|さいじ》た る根尾谷の《ルビ:地変|ちへん》等は今回の地震の如く其の震動の《ルビ:影響|えいきやう》を遠く数十里外に及ぼすの力な きものなり去れは《ルビ:此度|このたび》の地辷り地震にて最も《ルビ:強|つよ》き《ルビ:震力|しんりよく》を感ぜしは伊勢湾断層線上の各 地方即ち愛知県下にては其の西部、岐阜県下にては愛知県に《ルビ:接近|せつきん》せる部分及び中央部、 福井県下にては福井、大野、武生《ルビ:迎傍|きんぼう》に著るしくして其他《ルビ:地溝帯|ちこうたい》及び近古系統地質を 備へたる近接の各地方は僅かに其の《ルビ:影響|えいきやう》を《ルビ:被|かふむ》りしに過ぎざるものゝ如し是れ今回の地 震に就て某理学博士が《ルビ:観測|くわんそく》せる《ルビ:大要|たいえう》なり其の震災《ルビ:各地|かくち》の《ルビ:実況|じつきやう》は区域を分つて下條に《ルビ:詳|しやう》 《ルビ:記|き》するを《ルビ:覧|み》て知るべし      ◎愛知県下の震災 《ルビ:表|ひを》にも《ルビ:述|の》べし如く今回の地震は伊勢湾断層の《ルビ:変態|へんたい》より生ぜしものなれば其の《ルビ:断層|だんそう》の通 じたる所に震動最も《ルビ:強|つよ》かりし道理なれども《ルビ:往古|わうこ》愛知県南部は海にして名古屋の如きは 昔し《ルビ:波越|なごえ》といへる一島嶼なりしなり古図には今の一ノ宮《ルビ:近傍|きんばう》まで海水深く濤入せしさ まに《ルビ:描|ゑが》き今猶ほ名古屋近傍に何島、何津と称する《ルビ:地名|ちめい》の多く現存する等を見ても此の 近傍の《ルビ:昔|むか》し海濤なりし事は《ルビ:明|あきら》かなるべし去れば年を《ルビ:経|ふ》る随つて此の膿濤漸々に《ルビ:埋|うづ》ま り今は一の《ルビ:平原|へいげん》とはなりしも其地盤は頗る《ルビ:脆弱|ぜいじやく》にて地震学上《ルビ:所謂|いはゆる》近古系統の地質より 《ルビ:成立|なりた》ちしものなれば今回の地震にも其の震動頗る《ルビ:激烈|げきれつ》なりしものと思はる《ルビ:今|いま》名古屋測 候所にて《ルビ:実測|じつそく》せし管内地震度の《ルビ:強弱|きよじやく》を挙ぐれば左の如し