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コレクション: STAGE1

箱根七湯 温泉圖會 全 - 翻刻

箱根七湯 温泉圖會 全 - ページ 16

ページ: 16

翻刻

 療養(りやうやう)すべし 一頭痛(づつう)には   頭(かしら)に手ぬぐひを巻(まき)て瀧(たき)にむかひうたすべし 一積氣(しやくき)には   胸(むな)さきを瀧(たき)に向(むか)ひてうたすべし水|力(りき)よきほどにしてみぞ落(おち)をおす事   たゆみなくうたすれば塊(かたまり)を下る事神(しん)のごとし氣(き)をふさぎ食にもた   るゝなど下す(くだ)す事(こと)すみやかなり 一かたの痛(いたみ)   右に同じ後(うしろ)向(むい)て痛所をうたすゔぇし又かたのはりたるには二つ三つたゝきて   後(のち)うたすべし湯氣(ゆけ)のしんに透(とふ)る事たとへば針(はり)をさすがごとし 一腰痛(こしのいたみ)   右にひとしうしろ向(むい)てすこしこゞみてうたすべし瀧(たき)は大かた正面(しやうめん)に   うたすべからず少(すこ)し筋違(すぢかひ)にうたすべし 一手足(てあし)の痛(いたみ)   痛所へ手ぬぐひを懸(かけ)てうたすべし又|直(すぐ)にもうたする事あり痛の軽重(けいぢう)   によるべし    〽湯の山やうき世の外の遅(おそ)さくら  よみ人しらず    〽春風や桜吹こむみやのした  同 一此宮の下は箱根(はこね)の山の半腹(はんふく)にありて土地(とち)高(たか)く打(うち)ひらけたる所なり西と 南は連山波濤(れんざんはとう)のごとく東の方湯|本(もと)山をかぎりに小田原の大|津(つ)を見はらし 眼下(がんか)には堂ヶ峰白糸瀧を見おろす此|戸数(とかず)凢四十軒|斗(ばかり)|並(ならび)續(つづき)て物事|自由(じゆう)なり 底倉より四五丁の間|皆(みな)軒(のき)つゞきなり其外|土弓(どきう)講釈場(かうしやくば)などには療客(りやうかく)の足(あし)をつ なぐすべて温泉|場(ば)のならひとておほゆけの掟(おきて)にはもれざれとも小事の法度に かゝはらざれば己(おの)がまに〳〵の遊興(ゆうけう)小|魚(うを)喰ふ法師(ほふし)のあれば病によりて精進(しやうじん)する俗(ぞく) あり隣(となり)には舞(まひ)うたふ老人(らうじん)こなたに念仏(ねんぶつ)唱(とな)ふ若人(わこうど)一時千金をまき散(ちら)すも十(そ) 露盤(ろばん)と首引(くびひき)するもみなこれ己か病にして此|浴室(よくしつ)の一|世界(せかい)なり湯宿|奇麗(きれい) にして上|段(だん)にあけ畳(たたみ)をまうけ書院(しよいん)入|側(かは)床(とこ)ちがひ棚(だな)物として美(び)をつくし 風流(ふうりう)をきはむあしたに高貴(かうき)の室妾(しつせふ)をおくれは ゆふべにあづまの鉄火泊宿 す|浴衣(ゆかた)ひとつに鞠(まり)蹴(け)るあれば袖(そで)なし羽織(はおり)|打かさね囲碁(ゐご)の妙手(めうしゆ)案(あんす)る有 風呂(ふろ)うちのはなうたにはおのれが生国(しやうこく)をあらはし手|拭(ぬぐひ)の新古(しんこ)に日|数(かず)の多少(たせう)を しらる或(ある)は肉(にく)ふとき湯|女(な)の尻(しり)つめりてかへりてそひし《うたるゝ》など湯治|場(ば)の 氣はらしなり病にしたがつて興(けう)じ症(しやう)によつて愼(つゝし)むべき事  一《割書:湯宿| 》奈良屋兵次 一《割書:同| 》藤屋勘右衛門 一《割書:同| 》丸住屋為三郎  一《割書:同| 》吉田屋勘兵衛  右惣内湯