翻刻
【右丁】
物こはむ
人には
なくて
あたへ
ずと
こと葉
にくげに
かへす
べからす
乞食(こつしき)非人(ひにん)等(とう)門(かと)に来て物を乞(こひ)もらふ時 力(ちから)及ぶべくんば施行(せきやう)すべし急(きたし)成をすくひ
きはまれるを助(たす)くるは仁(しん)の道なりもしあたふべき物なくて戻(もど)すともこと葉あらく
さらにくけにはいふべからずかゝる身となり果(はつ)るかなしさおもひしるべし
【左丁】
貧(まづし)きに
つれてもいとゞ
おもひ
しれ
けんどん
なりし
むくひ
なりとは
それ人は貧賤(ひんせん)にくるしむといふ共必世をうらみかこつべからず因果(いんくは)の道理(とうり)を弁(わきま)ふべし現在(けんさい)の果(くは)を
見て過去(くはこ)未来(みらい)を知(しる)といへり我此生におゐてかくのごときは過去生人の物をむさぼりとり
我物はおしみて施(ほどこ)す事をしらず慳貪(けんとん)邪見(しやけん)成しゆへ也 努(ゆめ)ゝ(〳〵)人をも世をも恨べからず此理を弁(わきまへ)て
今此生におゐて貧苦(ひんく)を出離(しゆつり)し善根(せんこん)を修(しゆ)しぼたいのたねを植(うへ)未来(みらい)を助かるべし若(もし)しからずんば
貧苦(ひんく)のために緊縛(けばく)せられていよ〳〵罪業(さいこう)をかさね永(なが)く三悪道に墜在(ださい)すべし恐(おそ)るへし〳〵