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【右丁】
人はたゞ
心ひとつ
を
正(たゞ)さずと
よろづの
能(のう)の
ある甲斐(かい)も
なし
万能一心にしかじたとへ無芸 文盲(もんもわう)成とも其心すなほにして律義(りちき)第一ならば中ゝ世に優(すく)られは
せじ芸能(けいのう)人にすぐれたり共その心ひがみ邪(よこしま)ならば何ぞ用るにたらんや
【左丁】
賎(いや)しくと
心をつね
に
たしな
まば
心によりて
身をも
あぐべし
いにしへより人は氏(うち)素性(すじやう)をたゞして崇教(そうけう)すといへとも其心おろかにしてねぢけぬれば大名 高家(かうけ)
の子孫(しそん)もなり下(さかり)て凡下(ほんけ)と成心かしこく正(たゞ)しければ凡下の者も経(へ)あがりて大名と成 傳(つたへ)聞(きく)
大 舜(しゆん)は田夫(でんぶ)よりのぼりて摂政(せつしやう)の位(くらゐ)と成 終(つゐ)に帝位(ていゐ)につき給ふ傳悦(ふゑつ)は飯筑(はんちく)の内
より起(おこ)り膠■(こうかく)は魚塩(きよゑん)よりあげゝれ百里(はくり)■(けい)は市よりあげられしなり只其こころを
正しくすべし歌にたへて見よ花のそだゝぬ里もなし心からこそ身はいやしけれと侍り