東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト8

最明寺殿教訓百首 - 翻刻

最明寺殿教訓百首 - ページ 30

ページ: 30

翻刻

【右丁】 上(かみ)よりも無礼(ぶれい)を  うけて   腹(はら)たてば 我より下(しも)へ  心   あるべ     し 此歌のこころは大学の書に絜矩(けつく)の道といふて天下国家を治るの要道(ようとう)とす よき事もあしき事もわが心を縄■として人の心をはかりて見る也わがいやな ことは人もいやなり我すきなる事は人もすきなり故に我いやなことをば人に及ぼ すべからず我すきなることをば人にもえせしむべし是則仁を行ふ道なり 【左丁】 子を思ふ  親ほど   おやを    思ひ     なば  世に  有   がたき  人といはれん それ子として父母につかふるのれい聖経(せいけい)賢傳(けんてん)諸子百家の書にのせて容易(たやすく)はのべ尽(つく)しがたしと いへ共然ども其 則(のり)遠からず唯(ただ)人ゝ我子を慈愛(じあい)する真実(しんしつ)の心を殺(ころ)して父母を慈愛すれば 孝行(かう〳〵)■ることなし是を天性の自然(しせん)仁義(しんぎ)の本心と云然れども人ゝ其子を慈愛するにいたれ に習(なら)はざれ共天性をのづからあらはる父母につかふるにお ゐては学(まなん)でも天性あらはれざるは何故ぞといふ にたゞ私に覆(おほ)はれ欲(よく)にひかれて也故に己が私に克(かち)礼に代(かへ)り此注に従(したかひ)つとめ行ば有難き 聖賢(せいけん)共いふべし 古人の詞云父母の心を以て心とする時は孝ありと又俗語にも子を 以て後親の恩(をん)をしるといへり