東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト8

最明寺殿教訓百首 - 翻刻

最明寺殿教訓百首 - ページ 32

ページ: 32

翻刻

【右丁】 世に越(こへ)て   あまりに  人の   したしきは 終(つゐ)には    中を  たがはぬと      なし うすきこそ中ゝ人はそひよけれしきはもみぢのちらぬものかはといふ歌の心也惣じて人の中はふ けずさめず遠からず近からざるが幾(いく)久しくしてめでたし親子兄弟にもあらで余りしたしぶり 成はやがてさむる事うたがひなし礼記(らいき)云 君子(くんし)の交は淡(あはく)して水のごとし小人の交は甘(あまふ)して■(あまさけ)のごとし よき人の交は礼義みださず義理をちがへずたがひに機(き)つかひ遠慮(えんりよ)ありていんぎん成によつて いひそこなひしそこなひなくて末(すゑ)永(なが)く懇切(こんせつ)也よからぬ人の交は何の遠慮もなく初対(しよたい) 面(めん)より馴(なれ)〳〵しく打くつろぎ無礼無行義なるによつてどこその■にて慮外 緩怠(くはんたい) とがめあひて中態変成恙しけれけんくは口論(こうろん)に及びにが〳〵しく親しき中に礼有事をしらず 【左丁】 たぐひなく  いかに   したしき   中なりと  男なからん   所へな     居そ したしき中に礼あり日頃いかほど心やすき間成とも夫の留守ならん所へは行べからず文選(もんせん)に 曰 瓜田(くはてん)に履(くつ)を入ず梨下(りか)に冠(かんふり)を正(たゝ)さずと瓜(うり)畠(はたけ)のそばを通には手をさげてくつをなをす べからず瓜をぬすむかの人のうたがひやせん梨(なし)の木の下を通には手を上て冠(かんふり)をなをすべからす 梨を取かと人やうたがはんと也むかしある里にひとりのやもめあり其 となりにひとりの やもめありある夜大風大雨にてやもめの家つぶれりせんかたなくてとなりの家に行て戸を たゝきしか〳〵のよしいへどあるし入ずとなん是人のうたがひをさけんため也男女別あるの礼かくこそ