翻刻
【右丁】
身の科(とが)と
おもひもしらず
主親(しうおや)を
そしる人こそ
あはれ
なり
けれ
臣(しん)たる者は陰(かけ)日向(ひなた)なく忠勤(ちうきん)を抽(ぬきん)でんと昼夜(ちうや)志をはげまし■■する時は主君(しゆくん)たる
一目をあかずといふことなし子(こ)たる者 己(おのれ)が私を止(やめ)ての父母をいつくしみ敬(うやま)ひ其志に背(そむ)き
戻(もと)らず念比に養(やしな)ひまめやかにつかふる時は父母悦ばずといふ事なし然るに忠節(ちうせつ)孝行(かう〳〵)をばはげま
す気随(きずい)わがまゝをはたらき君父の機嫌(きけん)あたりあしければ却(かへつ)て恨みそしる成にあさまし
き事也主君のあたりのあしきも父母のあてがひのよからぬも畢竟(ひつきやう)おのれが身に
あり只何事も我身に立かへりて人を恨むべからず君子(くんし)は己(おのれ)をせめ小人(せうじん)は人をせむと■■■■
【左丁】
親のため
不 孝(かう)の
身
にて
神ほとけ
たすけ
たまへと
いふぞ
はかなき
親(おや)によく孝行(かう〳〵)をつくすものは祈(いの)らずとても神仏 守護(しゆこ)をくはへ給ふ也それ親は子(こ)の天道也又
神仏なり天道神仏は衆生の父母天道神仏は一体の道理なり故に父母に不孝なるは神仏の
御心に叶はず父母に孝行なるは神仏の御心に■叶也神仏の御心に叶はんと思はゞ■の思によく
したがふべし■かを父母を道なしにして愛(あい)し敬(うやま)はず只に神社 佛閣(ふつかく)にあゆみをはこび■をかたふけ
財宝(さいほう)をなげうつといへども何の益かあらん神は非礼(ひれい)をうけずとみて其 鬼(き)にあらづして祭(まつ)るは諂(へつらひ)なりと