翻刻
哥へる如く
世を照らす仏のしるし有りければ
まだともしびも消ずありけり
虚空蔵山地震にて大ぬけのこと
初編にも記したる丹波川の河上小市の渡シ
山中の入口なる虚空蔵山と申は多田淡
路守の砦をかまへし古跡にて軍書にも出
て名に高き岩石(カンセキ)そびへ千|刃(ジン)を植タル如キけん【ミセケチ、右にルビ:ウエタルゴトキケン】
そ成岩間の松ウ柏ク枝をまじへ枯木の
梢は鹿角(カカク)の如く実仙人も此山へ住家や
成さん計ニて龍の伏べき深山なり此山地しん
にて高サ三里余横巾凡五里半が程さけ落
ちて大河はせげて泊りけり水は次第につき
上り湖水の如くみなぎりて山中三万石
が内は皆水中とそ成にける其村|郷(サト)は池
田大町新町始メ下は村々笹平迄其
数すべて二十五ヶ村が内は水底深クにかくれける