翻刻
水のつきたる間は横巾三里八丁竪は十五里余
にぞ及ける其有様は人皇四十代の帝天武
天皇の時【ミセケチ】御宇白凰五年に土佐の国の田地
五十万余一夜に海に変化せしも斯やと
思ふ計なり御領主真田信濃守殿
より海野望月根津矢沢の辺り水の堤
は其場所〳〵に替り〳〵に見分を出さる此
水四月十三日に切て押流せる事大洪水ニて
信越二ヶ国にて九十五ヶ村が内は岩石原と
成沼となり又ふちとなりける有様斯る
大変は【ミセケチ:古へより】神武(ジンム)以来始ての事也と
言あへけるも断なり
地震の後松本にて怪異の事
此度の地震のあれは松本辺りにては左まで
の事もなかりしが此村の片辺り成ル里に
井手川と言所有り此所の大地じゝんにて