翻刻
大地ゑ【左に消した文字】むやらさけるやら何方(いづく)あてども
せん方なく野中篠原沼畠け。きらいなん
じよを飛こへて薮垣押分乱入頼ム小かげニ
雨ならで森下そわ山かけのはた千年(ちとせ)
古木の松ツ杉(スギ)もゆりころばせし大地震岩ニ
打れて死も有りさけたる土ニ埋れてはかなく
也し者も有たま〳〵命助るも夢の中なる
心地して更に正気はなかりけり抑今年
の順気と言は以前に替り前年の寒中
喧【かまびす】にして寒気を春に送(ヲクリ)り三月下旬の
頃なれ共未残寒さらずして其夜は先頃
よりも勝れて寒し地震の響は百千の
雷(イカツチ)の如く所々の山々さけ落たる音にぞ
有りけり数万人のさけびける音は鯨波(トキノコヱ)の如し