翻刻
又奈落に苦(クルシ)む声〳〵も斯や思ふ斗也
村々の火事は数箇所ニして煙は重る黒雲の如し
明りは昼の如くにして天をこがせし事は入日ニ
鳴戸の波の赤江(シヤクコウ)成るが如し斯てよく日に
成けれ共地震は更に止す其|以前(イゼン)文化元
子年出羽の国の地震は四日ゟ七日迄ゆりける
此(コノ)時庄内の山崩落人馬多く死亡せし有様も
是には過じと思われたり抑【信州此時の を消している】
弘化の地震にて信越に箇国ニて死せし人の
数ト四月十三日の溺死と其数合て二万余人にぞ
及けると言いも聞へたり右弐度の難をのがれし
者も命助かりし斗にて家財米こく衣類道
具迄も失へる者多かりければ此者へは
地頭□大官より御|手当(スクイ)下され衣等(きものとう)迄
□給りける在町の人々何レも皆寔に有難