翻刻
の皮と引かへける又生学者の違ニ鷹頭を
鴉の首と心得牽午子を牛の子と思ひ時
鳥を鶏と読(ヨム)を聞て是ぞ雲天万天の違ト
笑ふかたことも是も御(ヲ)|月(ツキ)とすつぽん程|違(マチガイ)
多キ世の中の人の心の|迷(マヨイ)|行(ユク)野道を|独歩(トツボ)の
美女を見て|狐(キツネ)|狸(タヌキ)とうたごふは理り成レども
不幸の有りて七日目当り門に水鶏(クイナ)のたて
音幽霊なりとおどろかん其夜は定テおびへ
ける又うかつに物にあわてば|雪(ユキ)の山ヲ見て
大象と思ひ蛇籠を見て|蟒蛇(ウハバミ)成とおどろき
夜道に狵(ムクイヌ)ヲ見て|狼(ヲヽカミ)成と恐れば黒犬を熊と
おどろかん女は心細キ者にて家狸(ねこ)家鹿(ねづみ)迄
魂消ける古へ大坂陣にもうろたへける者ら
的の立ツ木にて目を突|芥子(ケシ)の一粒につま
つきける又文治の軍にもワら人形を見て